ファンマーケティングとは?
取り組むメリットや具体的な手順、成功のポイントを解説!

ファンマーケティング

ファンマーケティングとは、企業がファンとの交流を大切にしながら中長期的に売上を伸ばすためのマーケティング手法です。知名度や効果が注目を浴び、取り組む企業が増えています。

この記事では、ファンマーケティングを推進する企業のご担当者に向けて、取り組むメリットや具体的な手順、成功のポイントなどを解説します。ぜひお役立てください。

1.多くの企業が注目するファンマーケティングとは

ファンマーケティングとは、ファンによる口コミ、情報発信といった行動を活かして、中長期的に売上を伸ばすマーケティング手法です。単純にファンを増やすのではなく、既存のファンとのコミュニケーションを大切にするのが特徴です。ファンマーケティングは「パレートの法則」と呼ばれる基本理論によって成り立っています。さまざまな場面で応用できる法則ですが、マーケティングにおいては「売上の8割が全顧客の上位2割によって作られている」ことを意味します。

2.ファンマーケティングが注目される背景

ファンマーケティングが注目される背景には、インターネットショッピングや通販の普及があります。インターネットの発達とともに、消費者個人が情報発信を行い、ユーザー同士のコミュニケーションも活発化してきています。こうした状況から、企業側もインターネット上で口コミや評価が行われることを前提としたマーケティングが必要になっています。

3.ファンマーケティングに取り組むメリット

ここからは、ファンマーケティングに取り組むメリットを4つ紹介します。

3-1.拡散力を得られる

ファンマーケティングに取り組むことで、自社で大きな労力をかけなくても拡散力を得られます。ファンは自分の好きな商品やサービスの魅力を発信したい欲求を持っており、SNSなどを通じて自主的に拡散を行います。そして見込み客は、ファンの発信した情報をもとに購買を検討するという流れが生まれ、企業は広告費をかけずに宣伝できます。

3-2.有益な意見を得られる

ファンマーケティングによって顧客の生の声が企業に届く機会が増え、有益な意見を得られます。ファンの意見は、自社では気づかない観点から発せられていることが多く、商品やサービスの改善につながりやすい点がメリットです。ファンに寄り添った商品やサービスを開発することで、ファンの購買意欲を継続させる効果も得られます。

3-3.売上が向上する

リピート率や利用継続率の向上により、LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を図ることで安定した売上の獲得につながるのもファンマーケティングのメリットです。ファンが商品やサービスの価値を認め、ブランドに愛着を持って継続的に行う購買行動により、価格競争に巻き込まれずに高い利益率を保てます。

また、ファンコミュニティを活用し、顧客ロイヤルティを向上させることでECサイトの売上に寄与した事例については以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

3-4.ファン同士が情報交換できる

自社が提供する商品やサービスに愛着をもったファンは、自ら情報を発信する傾向があります。ファン同士が情報交換をできるようになると、クレームになる前にファン同士のコミュニティで解決できるケースも少なくありません。結果として、カスタマーサポートの負担を軽減できるメリットも見込めます。

4.ファンマーケティングの具体的な手順

ファンマーケティングは実際にどのように進めるのでしょうか。一連の手順を解説します。

4-1.ファンを見つける

まずはソーシャルリスニングや、顧客へのアンケートなどでファンを見つけましょう。アンケートを行う際は、NPS®による顧客ロイヤルティを測る方法が役立ちます。NPS®(Net Promoter Score)とは、顧客が企業やブランドに対して感じている信頼度や愛着の大きさを測定する指標です。NPSの値が大きいほど、その顧客は企業やブランドのファンであると言えます。

4-2.ファンをセグメント化する

ファンのセグメント化とは、商品やサービスを好む度合いによってファンを分類することです。たとえば、SNSにおいて、商品やサービスに関する好意的な意見を投稿する頻度の分析によって、ファンの「好き」の度合いを測定できます。セグメンテーションについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

4-3.顧客満足度を高める施策を実行する

セグメント化した階層ごとにファンの意見を調べ、ファンがどのような点に魅力を感じるかを把握したうえで、ファンを育てるための戦略を立て、施策を実行します。そうすることで、自社の商品やサービスの持つ魅力を伸ばすと同時に、足りない部分を補える可能性が高まります。具体的にどのような施策が有効かは、これから解説します。

4-4.ファンに購買や口コミの拡散などを促す

コミュニティ等でファンの意見を精査しながら顧客ロイヤルティを高め、同時に購買や口コミ拡散といった具体的な行動を促します。顧客ロイヤルティの確認には、上述したNPSの調査も並行して行うのが効果的です。UGCについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

4-5.ファンとの良好な関係を続ける

ファンとの良好な関係を続けることは、ファンマーケティングの効果を高める条件の1つです。たとえば、定期的なアンケートの実施など、顧客の意見を収集する仕組み作りが良好な関係を続けるのに役立ちます。また、ファンにアンケート結果を公表したり、エゴサーチをして反応を返したりするのもファンマーケティングの成果につながります。

5.ファンマーケティングに有効な施策

ファンマーケティングを行うにあたって、有効な施策をいくつか紹介します。

5-1.SNSなどのコミュニティの運営

顧客の意見を収集するためには、SNS、オンラインサロン、コミュニティサイトなどを使ったコミュニティの運営が有効です。試食会や会社見学など、オフラインのイベント開催も検討しましょう。コミュニティの運営には、企業や商品のコンセプト・商材の魅力を顧客に詳しく伝えられたり、企業とファンまたはファン同士での交流による新たなユーザーインサイトの発見ができる、企業への愛着を強化することによりLTVが向上するなどのメリットがあります。誰でも見られるコミュニティは、ファンはもちろんのこと新規顧客にもアプローチできる有用な手法です。

5-2.ライブ配信

ライブ配信は、顧客の反応を見ながら進行できるのが大きなメリットです。配信後に顧客の反応、実際のライブ配信による影響、成果などを分析したうえで次回の配信につなげられます。新規顧客からファンまで、コミュニケーションをとりながらアプローチできるため、信頼関係を構築するためにも有効です。

5-3.クラウドファンディング

クラウドファンディングは、新商品や新サービスの販売、テスト販売などにおすすめです。ポイントを押さえたプレゼンテーションにより、コンセプトや理念に共感するファンを獲得できる可能性が高まります。クラウドファンディングの募集サイトなどを使えば、自社と関わり合いのなかった人との出会いにもつながります。

5-4.サンプリング

サンプリングとは、限られたメンバーにサンプルを送り、使用感を拡散してもらう方法です。サンプルの送り先となるメンバーは、SNSやモニターサイト、コミュニティサイトなどで募集します。実際にサンプルを使ってもらった後はSNSへの投稿を促し、多くの人の目に触れる状態を作りましょう。情報が拡散されることで、見込み客を顧客に成長させるきっかけになります。

5-5.会員制サービス、サブスクリプションサービス

会員制のサービスは、ファン離れを防止できるため、安定した売上を得られる方法です。たとえば、会員限定セールなどで「自分が優遇されている」と感じると顧客満足度が高まる傾向にあります。同様に、サブスクリプションサービスも顧客が他社に流れるのを効果的に防止できるため、継続したサービスを提供する業態におすすめの方法です。

5-6.きめ細やかな接客

きめ細やかな接客は、ファン獲得への近道と言えます。商品やサービスの価値が他社と拮抗している場合、気持ち良い接客をする企業を選択するのは自然の流れでしょう。社員教育やマニュアルの整備、ブランドブックの作成、オンライン接客の導入などで接客の質を高めることや、これまでになかった顧客接点や接客機会を創出することも、ファンマーケティングの一環として有効です。

6.ファンマーケティングが必要とされる理由

ファンマーケティングが必要とされる理由は2つあります。

1つ目は、既存顧客にアプローチを行うほうが、新規顧客を呼び込むより売上を見込めるためです。企業の価値を知っている既存顧客は、商品やサービスの利用によって、顧客自身の目的を達成できるとわかっているため、継続的に購入する可能性が高くなります。

2つ目は、ファンの発信力が売上を左右するようになったためです。SNSの広がりなどを背景に、ファンによる発信が新たなファンを呼び、売上アップを実現できます。

7.ファンマーケティングを成功させるポイント

ファンマーケティングを成功させるためにも4つのポイントを押さえておきましょう。

7-1.共感や愛着を促す情報を配信する

顧客から共感や愛着を得るためには、商品やサービス、ブランドのアイデンティティを明確にし、それに基づいた情報を発信することが重要です。顧客の求める情報を定期的に発信することで、共感する人が増え、ブランドに対する愛着が湧き、顧客のファン化が進みやすくなります。また、共感の度合いが高いほど、SNSなどでの拡散も期待できます。

7-2.タッチポイントを選定する

タッチポイントとは、顧客と企業との「接点」のことです。ファンマーケティングを行うためには顧客とコミュニケーションを取る必要がありますが、タッチポイントは選ばなければなりません。たとえば、外出が少ない人をペルソナとするならば、WebサイトやWeb広告をタッチポイントとします。逆に、よく外出する人をペルソナとするならば、実店舗や販売スタッフによる接客をタッチポイントとするのが有効です。

7-3.長期的に取り組む

ファンマーケティングは長期的に取り組むことが大切です。アンケートもサンプリングも、一時的なイベントで終わるようではファンが定着せず、狙った効果は見込めません。ファンマーケティングは、中長期的な売上向上を目的とした施策である点を理解しましょう。すぐに効果が出なかったとしても、気長に取り組むことが大切です。

7-4.マーケティング戦略の専門家に相談する

ファンマーケティングを行ったつもりでも、成果が思ったように売上に反映されないケースもあります。マーケティング戦略で狙った成果が出ないのであれば、専門家に相談するのがおすすめです。

8.まとめ

ファンマーケティングは、ファンとのコミュニケーションを通じて中長期的に売上を伸ばすマーケティング手法です。絶え間なく進化を続ける市場において企業を成長させるためには、ファンによる口コミや情報発信を活かしたファンマーケティングに取り組む必要があります。

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