セグメンテーションとは?
重要な理由や4つの変数・ポイントを解説!

セグメンテーション

IT技術が発達し、SNSやECサイトのユーザーデータを利用したマーケティングが盛んになる中で、データを分析し、販売施策を決定するSTP分析の重要度も増しています。ペルソナをつかみ、施策に対してよい反応をしてくれる顧客を探すためには、STP分析の第1段階であるセグメンテーションが大切です。

この記事では、 マーケティングを担当される方に向けて、セグメンテーションが重要な理由や、セグメンテーションに使われる変数・評価のポイントを解説します。 自社のデータを利活用したい方は、ぜひお役立てください。

1.セグメンテーションとは

セグメンテーションとは、自社の販売戦略のターゲット層を絞り込む前段階として、市場を細分化することです。「セグメント」は一定の指標に基づいて分類されたグループを指します。セグメンテーションは、以下のような手順で行います。

  • 1.市場にいる不特定多数の顧客を、年齢・性別・職種・商品の購入履歴など、さまざまな基準で分類し、セグメントを作ります。
  • 2.各セグメントに対して、自社の商品やサービスがどの程度受け入れられているのかを分析します。
  • 3.分析結果をもとに、施策を集中すべきセグメントを選びます。

1-1.セグメンテーションが重要な理由

マーケティング活動に際してセグメンテーションが重要となる理由は、主に以下の2つです。

・消費者ニーズが多様化した

消費者ニーズが多様化した現代の市場では、不特定多数に向けてただプロモーションを行うだけでは、高い効果を得られません。自社の商品に興味をある層を探し、ピンポイントで販売戦略を立てるために、消費者のセグメンテーションが重要になります。

・IT技術を使い、企業がデータを利活用できるようになった

IT技術が進んだ結果、SNSの書き込み内容やネット上の口コミ評価、ECサイトの購入履歴といったビッグデータを企業が活用しやすくなりました。データに基づいて判断や行動を行う「データドリブン」が重要になる中で、消費者のデータをセグメンテーションすることの重要度も増しています。

データドリブンについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

1-2.ターゲティング・ポジショニングとの違い

セグメンテーションは、STP分析の1つの段階です。STP分析はS(セグメンテーション)、T(ターゲティング)、P(ポジショニング)の3段階で構成されます。それぞれの内容や違いは以下の通りです。

・セグメンテーション

市場を細分化し、標的となる市場を絞り込む

・ターゲティング

細分化した市場の中から、ターゲットとする顧客を選択する

・ポジショニング

市場で自社を優位な立ち位置にするために、自社製品の価値を把握し、訴求方法を決定する

STP分析はセグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの順で行われます。マーケティング戦略全般やSTP分析以外のフレームワークについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

2.セグメンテーションを行うときに使う4つの変数

セグメンテーションには、市場や顧客を分類する際の変数が4つ存在します。セグメンテーションを行う場合、4つの変数のうち分類の基準をどこに置くかを決めることが大切です。

2-1.地理的変数(ジオグラフィック変数)

地理的変数(ジオグラフィック変数)とは、国や地域、気候、人口密度、人口規模といった、地理的な要素を基準とする変数です。 文化や宗教、生活習慣といった要素も地理的変数に該当します。 地理的変数は、食料品・衣料品・家電製品など、地理的な特性によってニーズに差が出やすい商品を取り扱う際に有効です。 たとえば、関西ではうどんのだしに薄口しょうゆを使い、関東では濃口しょうゆを使うといった食習慣の差は、地理的変数の1つです。また、美容院やマッサージ店のセグメンテーションには地理的変数を活用できます。たとえば、電車通勤の人が多い地域の場合、駅周辺に出店すれば消費者を呼び込みやすくなるでしょう。

2-2.人口動態変数(デモグラフィック変数)

人口動態変数(デモグラフィック変数)は、客観的な属性を基準に消費者を分類する際に用いる変数のことです。 客観的な属性とは、主に以下のような情報を指します。

客観的な属性の一例

  • 年齢、年代
  • 性別
  • 家族構成
  • 職業
  • 所得
  • ライフステージ

たとえば、女性向けの衣料品を販売する際、ターゲット層を20代の働く女性にする場合と、40代の主婦にする場合ではプロモーションの方法が変わってきます。そこで人口動態変数を活用すれば、顧客ニーズに合わせた商品展開やプロモーションを行うことが可能です。 人口動態変数は、衣料品のほかにも車、ジュエリー、レジャー用品、不動産など、さまざまな商品・サービスで活用できます。

2-3.心理的変数(サイコグラフィック変数)

心理的変数(サイコグラフィック変数)は、消費者の心理的要素を基準とする変数です。 心理的変数には以下のような要素が挙げられます。

心理的変数の一例

  • 価値観
  • 性格
  • ライフスタイル
  • 趣味嗜好

たとえば、ライフスタイルの場合、休日の過ごし方は人によって千差万別です。アウトドア趣味に没頭する人やインドア趣味を楽しむために自宅にこもる人など、消費者一人ひとりに多様な過ごし方があります。心理的変数はかつて調査するのが困難だったものの、現在ではSNSの書き込み情報の確認や、ネットを使った大規模なアンケートなどにより、調査が可能になっています。 心理的変数を利用してセグメンテーションを行い、市場にアプローチできれば競合他社との差別化を図りやすくなるでしょう。

2-4.行動変数(ビヘイビアル)

行動変数(ビヘイビアル)は、消費者が商品・サービスに対して取った行動データを基準とする変数です。 具体的には、購入履歴や商品・サービスの使用頻度、購入商品の利用目的などを指します。たとえば、ターゲット層の購買頻度が高い日用品などの場合、定期的にセールを実施することでより足を運んでもらいやすくなるでしょう。

3.セグメンテーションを行うときの4つのポイント

セグメンテーションを行うときには、細分化したセグメントのうち、自社のビジネスに適したものはどれかを評価する必要があります。評価の手法として代表的なのが「4R」です。 4Rは、優先順位(Rank)、有効性(Realistic)、到達可能性(Reach)、測定可能性(Response)の4つで構成されています。 セグメンテーションを行った後、4Rを押さえて評価を行えば、次のステップであるターゲティングに適切につなげられるでしょう。

3-1.優先順位(Rank)

優先順位(Rank)とは、ニーズがあると判断された顧客セグメントが複数あった場合に、どのセグメントを重視すべきか優先順位を付けることです。 優先順位が高いセグメントからターゲットにすれば、高い効果を得られる可能性が上がります。優先順位の付け方には、以下のような例があります。

優先順位の付け方の例

  • 自社の販売戦略に合致している順
  • 競合が少ない順
  • 自社にとって重要度が高い順

など

3-2.有効性(Realistic)

有効性(Realistic)は、対象のセグメントが十分な売上や利益を上げられる規模なのかどうかを検討するための指標です。 セグメントの規模が小さすぎる場合、例え利益を上げられたとしても採算が取れない可能性が高くなります。ニーズが合っている商品・サービスでも、市場規模が小さいセグメントはターゲットの対象から除外するのが得策と言えるでしょう。なお、有効性は基本的にセグメントに属している消費者の人数で判定することで簡単に確認できるという特徴もあります。

3-3.到達可能性(Reach)

到達可能性(Reach)とは、選んだセグメントのターゲット層にアプローチする手段があるかどうかを判断する指標です。 セグメンテーションによって市場を決定し、魅力ある商品やサービスを準備しても、ターゲット層にアプローチできなければ具体的な購買行動にはつながりません。そのため、 セグメントの属性やターゲット層などに合った適切なプロモーション方法を選ぶ必要があります。 たとえば、ターゲット層がネットショッピングをよく利用する場合、ネット広告やSNS広告が高い効果を発揮するでしょう。

3-4.測定可能性(Response)

測定可能性(Response)とは、実際に販売施策をセグメントに対して行った後に、反応を測定・分析できるかどうかを判断する指標です。 市場規模やほかのセグメントとの違いを測定できなければ、セグメンテーションを行う意味がありません。たとえば、心理的変数で「アウトドア趣味がある」という切り口だけでは、セグメントのはっきりとした市場規模やほかのセグメントの違いが測定・分析できません。 どのようなアウトドア趣味があり、どのくらいの頻度で行うかなど、より細かい粒度で把握できてはじめて測定が可能になります。

4.まとめ

セグメンテーションとは、STP分析の第1段階として、一定の指標に基づいて自社の市場を分類わけすることです。消費者ニーズの多様化やIT技術の発達により、データに基づいた判断が求められる中、セグメンテーションの重要性は増しています。セグメンテーションは、地理的変数・人口動態変数・心理的変数・行動変数の4つの切り口から行われます。セグメンテーションにあたっては、自社の戦略に一致しているか、利益を上げられる規模か、ターゲットに到達するか、施策の測定ができるか、という点に注意が必要です。以下ではRFMセグメントの分析手法と実践例についてご紹介しています。ぜひご覧ください。

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