NPS®とは?
NPSの意味や活用方法、注意点について解説!
NPS®は近年、企業がCX(カスタマー・エクスペリエンス)戦略を策定する上で注目されている指標の一つです。また、企業そのものが成長をはかる指標としても重要視されています。
この記事では、NPSについて知りたい方や、NPSを活用して効果的なマーケティング戦略を検討したい方に向けて、企業の担当者に向けてNPSの概要、計算方法や活用方法、導入の注意点について解説します。ぜひお役立てください。
1.NPSの意味とは
NPS®(※)とは、Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の頭文字をとった略称です。顧客ロイヤルティを数値化したもので、家族や知人に商品やサービス、企業を勧めたいと思うかについて数値化した指標を指します。一般的に、NPSの数値が高いほど、推奨してくれる顧客の存在が多いことを示します。NPSはアメリカのベイン・アンド・カンパニー社が発表し、世界的に広めたものです。近年は、企業の成長に関連がある指標として、日本でも注目されています。NPSの数値向上は、自社の商品やサービスを周りに勧めたい人が増えたことを意味するため、企業の収益性の向上にも関連性が高いと言われています。
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ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。詳細は、ベイン・アンド・カンパニー社のサイト をご確認ください
1-1.NPSと顧客満足度はどこが違うのか
顧客の意見を取り入れる指標として「顧客満足度」がありますが、NPSと顧客満足度では、顧客への質問内容、企業収益との相関性の観点で大きく異なります。
NPSは「自分以外の人にも商品やサービスを勧めたいと思うか」という質問に関して「勧めたい」と回答した人の割合を数値化したものです。調査で「勧めたい」と回答した顧客は、将来の企業収益に大きく影響を及ぼす可能性があります。
一方で「顧客満足度」は、企業ごとに顧客への質問内容や形式が異なる点が特徴です。たとえば、企業の商品やサービスに対して「満足」と回答した顧客であっても、購入せずにWebサイトから離脱するケースも考えられます。したがって、顧客満足度は企業の収益と必ずしも相関関係にあるとは限りません。
2.NPSの計算方法とは
NPSを計算するには、顧客に「この製品やサービス(または企業)を友人や家族に薦めたいと思いますか」という質問について「0〜10」の11段階で回答を依頼します。
アンケートで9〜10と回答した人の分類は「推奨者」に分類されます。このカテゴリーの顧客は、自社の商品やサービスを愛用し、周囲に勧めてくれる人を指します。
7〜8の回答者は「中立者」です。特に勧めることもなければ、ネガティブな意見があるわけでもありませんが、何かのきっかけで批判する立場に変わる可能性がある層です。
0〜6の回答者は「批判者」です。自社の商品やサービスの購入を検討する人たちに、ネガティブな口コミを広げる可能性が高い層です。
NPSは「推奨者」と「批判者」の比率の差、つまり「推奨者」-「批判者」=NPSとなります。
3.NPSを活用するメリット
NPSをCX戦略やマーケティング戦略などに活用するメリットを解説します。
3-1.事業の判断材料に使える
NPSは商品やサービスの今後の推奨度合いをはかる質問を行うため、商品やサービスの今後の収益性を予測する判断材料として活用することができます。NPS調査の結果、推奨者が多かった場合はこれから売れる可能性が高いため、商品増産や関連商品の新規開発などの判断がしやすくなります。また、推奨者が少なかった場合は、商品やサービスに何らかの問題が生じている可能性があると推測できるため、改善検討や供給打ち切りを見極める判断にも有効となります。
3-2.自社の立ち位置を把握できる
業界や企業の性質に関係なく、NPSの評価方法や質問項目は基本的に共通しています。従って、競合と比較するベンチマークの優劣を把握することもできます。業界内における自社の立ち位置を客観的に数値で把握できるため、事業方針の意思決定、競合との比較などにもNPS調査の結果は役立ちます。
3-3.顧客別に適したアプローチができる
NPS調査結果では、顧客を「推奨者」と「中立者」、「批判者」の3つに分類します。NPSの結果から、自社の顧客がどのカテゴリーに多いか把握できるため、顧客が特定のカテゴリーに多い場合、理由や背景を深く掘り下げる、追加アンケートを行うなどを行うことで、顧客別の最適なアプローチ方法が見つかるかも知れません。顧客に合わせたデジタルコミュニケーション手段を選択できれば、顧客のロイヤルティ向上も期待できるかもしれません。
CX戦略を成功に導くためのポイントについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
4.NPSを活用するためのポイント
NPSを効果的に活用するにはどうすればよいのでしょうか。スムーズな活用のために知っておきたい3つのポイントを解説します。
4-1.NPS調査時に適切な設問を用意する
基本的にNPSは「製品・サービス(または企業)を友人や家族などに薦めたいと思いますか?」という質問で調査を行います。ただし、顧客ロイヤルティの具体的な内容を知りたい場合は、他にも設問を用意することが必要となります。ただし、あまりにも設問数が多すぎると顧客の回答意欲にも影響するため、関連性に配慮しながらも、適切な分量になるよう調整しましょう。
4-2.競合他社のNPSと比較してみる
自社のNPSだけでなく、競合企業のNPSとの比較もポイントです。企業規模や提供する商品やサービスのターゲットなどから比較対象企業を洗い出し、更に、業界全体のNPSの平均を知っておくことで、自社の立ち位置の把握、目指すべき指標値の設定などに役立ちます。
4-3.NPSを調査したい顧客を特定する
NPSを調査する際に、調査目的に合わせて顧客を特定した方が良い場合があります。自社商品・サービスのターゲットが、性別や年齢層などで分かれている場合、また、会員歴や購入歴によって顧客アプローチを変えている場合など、調査するターゲット層を絞ることで、より具体的なNPSを入手することが可能になります。また、利用前や利用中、利用後など顧客のステータスごとの調査によって、より有用なNPSが得られる場合もあります。
5.NPSの特性を考慮した活用する際の注意点
NPSをCX戦略やマーケティング戦略に活用する際に、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
5-1.日本企業のNPSはマイナスになりやすい
日本人はNPSの回答で中間値を選びやすい傾向にあるため、欧米に比べるとNPSの数値が低くなる傾向にあります。NPSでは、0〜6の回答は「批判者」にカテゴリー分けされますが、有名大手企業ですら、調査結果のほとんどがマイナス値になってしまいます。日本企業を対象とした調査では、競合他社との比較や業界内での自社の立ち位置などを相対的に判断することが重要です。
5-2.NPS調査に積極的な顧客ばかりではない
NPS調査の対象となるすべての顧客が、積極的に調査に取り組んでくれるとは限りません。顧客のなかには、調査に協力的でない人もいるでしょう。時には、回答者より、回答してくれなかった顧客の方が多くなるケースもあるかも知れません。
正確な数値が得られないと正しい調査結果が得られないため、適切な対策も講じにくくなります。「サイレントマジョリティ」と呼ばれる「調査に参加しない顧客」の割合、及び、それらの顧客の真意を見定める別手段なども考慮しながら、調査結果を注意深く精査することが大事になります。
6.代表的なNPSの活用方法
企業の業績に寄与するための、代表的なNPSの活用方法を紹介します。
6-1.課題発見に役立てる
NPS調査結果は、企業の事業活動全般からの課題発見に役立ちます。必要に応じて追加調査を実施しながら、根本課題を洗い出して解決に取り組むことが重要です。課題を発見し、改善に取り組むことで、顧客ロイヤルティの向上につなげられます。
6-2.社内共有で企業の成長力向上に役立てる
NPSの結果は、顧客の直接的な意見を反映させた数値に基づきます。したがって、NPS調査の結果は社内の従業員の心にも響きやすい傾向があります。社内全体でNPSを把握したうえで改善に取り組めば、より企業の成長につなげることができます。加えて、経営層もNPSの結果を把握し、NPSの改善に取り組む理由や背景を理解しておくことも重要です。
6-3.商品・サービスの改善や開発に役立てる
NPSの数値をもとに、商品やサービスの改善、開発に役立てることもできます。自社の顧客が「推奨者」と「中立者」、「批判者」どのカテゴリーに多いか知ることは、企業の現状を把握するうえで有益です。たとえば、「批判者」のカテゴリーが多かった場合、点数をつけた背景を分析すること顧客の意見を反映した商品やサービス作りのヒントが得られるかも知れません。
6-4.プロモーション方法の見直しに役立てる
NPSで「批判者」となっている顧客層についての調査は、プロモーション方法の見直しにも役立つことがあります。「批判者」が多い場合、自社の商品やサービスに賛同してもらうためのメッセージが、本当に欲している適切なターゲット層に届いていない可能性を示唆しています。
6-5.コンタクトセンターなどのサポート体制の見直しに役立てる
コンタクトセンターの応対やWebサービスの品質によっても、NPS調査の結果は左右されます。コンタクトセンターに集まる顧客の声の分析(VOC分析)では、顧客から集まる膨大な問い合わせ内容から、改善すべき商品・サービス、また、応対の品質を高めるヒントを得ることができます。これらを改善した結果を次のNPS調査で確認するといった活用もできるようになります。VOC分析については以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
7.まとめ
NPSとは顧客ロイヤルティを数値化した指標です。一般的に、NPSの数値が高いほど将来的な企業成長が見込めると言えるでしょう。「NPSを顧客ロイヤルティ向上やマーケティング戦略に活かしたいが、なかなか進められない」とお悩みの場合は、SCSKが提供するCXソリューション「altcircle(オルトサークル)」の活用をぜひご検討ください。
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