コンテンツマーケティングとは?
メリット・デメリットや手順を解説!

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、コンテンツを通じてユーザーとコミュニケーションをとり、信頼関係の構築や興味の喚起を狙うマーケティング戦略のことです。インターネットの発達によりユーザー側が情報を選び取るようになった現代社会において、企業側の一方的な情報発信に顧客は魅力を感じません。そのため、価値のあるコンテンツを提供し、顧客の信頼を得るコンテンツマーケティングは重要度を増しています。

この記事では、主にBtoC企業の方に向けて、コンテンツマーケティングの概要やメリット・デメリット、コンテンツマーケティングを実施する手順を解説します。ぜひお役立てください。

1.コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、価値ある情報を通じて見込み顧客や既存の顧客とコミュニケーションを図るマーケティング手法です。一方的な販売促進ではなく、有益なコンテンツを提供することにより、相手からの関心や信頼を引き出す「インバウンドマーケティング」の一環として機能します。

インバウンドマーケティングとは、顧客主導のマーケティング戦略のことです。インバウンドマーケティングとコンテンツマーケティングの戦略的位置づけの違いは、インバウンドマーケティングが顧客のライフサイクル全般にわたる取り組みであり、コンテンツマーケティングがその一環としてコンテンツ提供を通じて顧客との接点を作る点が挙げられます。

コンテンツマーケティングの目的は、単に自社商品やサービスを売ることではなく、関係性を構築し、潜在的な顧客の興味を引き、長期的な顧客ロイヤルティを確立することです。具体例としては、以下が挙げられます。

・化粧品メーカーが化粧のやり方を解説する動画を動画サイトに投稿する

・証券会社が株式投資のコツについてのメールマガジンを顧客に配信する

・Web制作会社が自社のブログにWebデザインについての情報を伝える

・警備会社が防犯のコツをホワイトペーパーにまとめて自社サイトに載せる

・酒造メーカーがおつまみのレシピをSNSに投稿する

など

これらのコンテンツは、直接商品の購入につながるケースは少なくとも、ブランドの価値を高め、顧客との接点を持続的に作り出す手段となります。デジタルマーケティングについて以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

1-1.マーケティングの「PESOモデル」とは

PESOモデルとは、マーケティングにおいて使用される以下4つのメディアの総称です。

・ペイドメディア(Paid Media)

Web広告やテレビ広告など、広告費を支払い、情報を発信するメディアです。費用はかかるものの、広範囲へ迅速に情報を届けられます。

・アーンドメディア(Earned Media)

口コミやメディア報道、レビューなど第三者の信頼を得て情報が発信されるメディアです。信頼性が高い上に、費用を抑えつつ拡散効果も期待できます。

・シェアードメディア(Shared Media)

InstagramやX(旧Twitter)などのSNS上で情報が共有されるメディアです。消費者同士の共有により情報が広がりやすく、リアルな反応が得られます。

・オウンドメディア(Owned Media)

自社サイトやブログなど、自社で運営し情報発信するメディアです。自社で自由に情報をコントロールでき、ブランドの構築やファンの獲得に有効です。

コンテンツマーケティングで主に利用されるのは、これらのうち「シェアードメディア」と「オウンドメディア」です。WebサイトやSNSに読者のニーズを満たすコンテンツを掲載して継続的に発信することにより、顧客の認知や関心、信頼を集めます。また、広告予算によっては雑誌やWebマガジンなどのペイドメディアに自社のコンテンツを掲載するケースもあります。

1-2.コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違い

コンテンツマーケティングとコンテンツSEOはよく混同されますが、2つには明確な違いがあります。

コンテンツマーケティングは、価値ある情報を提供してユーザーとの関係を深め、ブランドの認知度を高める手法です。ブログやSNS、メールマガジンなど多様なプラットフォームを活用します。

一方、コンテンツSEOは検索エンジンでWebコンテンツの上位表示を目指し、検索ユーザーのサイトへの流入を増やすための手法です。特定のキーワードに最適化したSEO対策により、検索結果からの短期的なトラフィック増加を図ります。

コンテンツマーケティングの手法の1つに、コンテンツSEOがあると考えればよいでしょう。

1-3.コンテンツマーケティングが重要な理由

コンテンツマーケティングの重要性は、情報過多な現代社会における消費者の情報収集行動の変化と密接に関連しています。インターネットとスマートフォンの普及により、消費者は能動的に情報を検索し、自らのニーズに合致する質の高い内容を選び取るようになりました。

もはや、企業が一方的に発信する情報だけでは、消費者の関心を引きつけられなくなっています。このため、企業は定期的に価値のあるコンテンツを提供し、常に顧客の意識の中に存在し続けなければなりません。

企業はコンテンツマーケティングによって、信頼性のあるブランドイメージの構築や顧客との長期的な関係を築くことが可能です。顧客の獲得やロイヤルティの向上に直結するため、現代のビジネス環境におけるマーケティング戦略として非常に重要視されています。マーケティング戦略について以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

2.コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングは、他のWebマーケティング活動・施策以上に多くのメリットがある手法です。以下では、コンテンツマーケティングの主なメリットを5つ解説します。

2-1.低予算からスタートできる

コンテンツマーケティングの大きなメリットの1つは、低予算からスタートできる点です。試作や導入のコストが広告出稿と比べて安価で、運用にかかるランニングコストも抑えられるため、長期的に見てコストパフォーマンスに優れています。

特にブログ記事やホワイトペーパー、動画といったオウンドメディアの初期構築に必要なのは、サーバーやドメイン取得などの基本的な開発費のみです。コンテンツ作成時に外注費用がかかる場合もありますが、一度公開すれば継続的に集客効果を期待できます。さらに、既存の自社サイトやSNSを活用すれば、人的コストのみで済むことも少なくありません。

2-2.作ったコンテンツが資産になる

コンテンツマーケティングにおけるもう1つの大きなメリットは、作成したコンテンツが自社の資産として継続的に価値を持ち続ける点です。一度作成し公開した自社コンテンツは、削除しない限り企業のオンライン資産として残り、時間が経過しても引き続き潜在顧客を引きつける役割を果たします。

さらに、これらのコンテンツは内容を更新したり、ほかのテーマやページに再利用したりすることでその効果を何度でも増幅可能です。多くのユーザーに支持されるコンテンツを発信し続ければ、Webサイトだけでなく自社そのものへの好感度向上も期待できるでしょう。

コンテンツの横展開や更新を通じて長期間にわたり集客とエンゲージメントの向上に寄与すれば、結果として高いコストパフォーマンスを実現します。ライブコマースに関するコンテンツマーケティングついては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

ライブコマース実践!~購買意欲を高めるコンテンツ制作と配信の秘訣~アーカイブ

2-3.効率よく集客できる

効率よく集客できることも、コンテンツマーケティングがもたらすメリットの1つです。コンテンツマーケティングでは、読者が自ら「知りたい」と思う情報を提供するため、顕在層だけではなく潜在層も自然に引き寄せられます。潜在層とは、まだニーズを自覚していない、または商品やサービスを認知していない人々を指します。

コンテンツマーケティングによって引き寄せられるのは、自社のコンテンツに関連性の高い商品やサービスに興味のあるユーザーです。潜在層は顕在層よりも多く存在します。興味を引くコンテンツを通じて商品やサービスの認知を一気に広げられれば、将来的な顧客やリピーターをまとめて獲得できるでしょう。

2-4.顧客ロイヤルティを得やすい

コンテンツマーケティングには、継続的に高品質で有益な情報を提供することで、読者からの信頼を獲得し、顧客ロイヤルティを高める効果もあります。この手法により、企業はユーザーの役に立つ価値あるコンテンツを通じて「信頼できる企業」という印象を強化し、顧客の愛着や忠誠心を醸成することが可能です。

結果として顧客が自社のファンになり、繰り返し商品やサービスを利用し、自らが得たよい経験をSNSや口コミで広める効果が期待されます。業界における専門家としての存在を確立すれば、ブランドの認知度と信頼性はより向上し、競合他社への移行を防ぐ力も強まるでしょう。顧客ロイヤルティやファンマーケティングについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

2-5.SNSと相性がよい

コンテンツマーケティングは、SNSと非常に相性がよいのも特徴です。特に、良質なコンテンツやユニークなアプローチを持つ記事や動画は、X(旧Twitter)などから自然に拡散されやすく、大量のユーザーに迅速に到達できます。

ソーシャルメディアでの拡散効果により、企業は広告費をかけずとも広範な視聴者にリーチすることが可能です。さらに、ソーシャルメディア上でのシェアは客観的な意見として信頼されやすく、新たな潜在顧客へのリーチや既存顧客のロイヤルティ向上に直結します。

このように、コンテンツマーケティングはSNSを利用して効率的にブランドのメッセージを拡散し、広い範囲のユーザーとの接点を増やすのに最適です。SNSマーケティングや動画マーケティングについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

3.コンテンツマーケティングのデメリット

コンテンツマーケティングには多くのメリットがあります。しかし、即効性の高い広告出稿などとは異なり、成功までには時間と手間がかかるというデメリットがある点も無視できません。以下では、コンテンツマーケティングのデメリットを4つ解説します。

3-1.継続的な発信が必要になる

継続的なコンテンツの追加や更新が必須となるのは、コンテンツマーケティングのデメリットに挙げられるでしょう。いかなるコンテンツも「作成して終わり」とはなりません。成功を収めるには、一貫して高品質なコンテンツを定期的に発信し続ける必要があり、これには相応のリソースと体制の構築が必要になります。

単発のキャンペーンや一時的な取り組みではなく、長期的なコミットメントと運用体制の整備が求められるため、組織全体の取り組みとして位置づけることが重要です。

3-2.即効性がない

コンテンツマーケティングは、効果を発揮するまでに時間がかかる手法です。新しくコンテンツを制作し公開しても、その内容が多くのターゲットユーザーに認知されるまでにはタイムラグが存在します。また、コンテンツの認知度が上がってもすぐに売り上げに直結するわけではなく、効果が出るまでには最低でも数か月~1年程度かかることが一般的です。

そのため、基本的に短期間での売り上げの向上や、直接的な収益化はほとんど期待できません。長期的な視点での計画と持続的な努力が必要になるため、即効性のある成果を求める場合には不向きな戦略と言えるでしょう。

3-3.ユーザーニーズに応じた調整が必要

ユーザーのニーズは常に変化しており、コンテンツマーケティングではそれに応じた迅速な調整が求められます。古い情報の更新やメンテナンス、新しいトレンドに基づいたコンテンツの追加が必要です。

また、ユーザーからのフィードバックに基づいた戦略設計の修正や、施策の細かな練り直しも欠かせません。コンテンツの複製や盗難のリスクがあるほか、表現方法によっては意図しない炎上が起きるリスクがあるのも、コンテンツマーケティングのデメリットです。

3-3.効果測定が難しい

効果測定が難しい点も、コンテンツマーケティングのデメリットとして挙げられるでしょう。効果測定が難しい主な理由は、コンテンツの質の評価はユーザーの主観的視点から行われるため、客観的に数値化するのが困難な点にあります。

ユーザーによって「価値のある情報」の定義が異なるため、コンテンツの良し悪しを明確な数字で表すことができません。また、ユーザーの満足度を正確に数値化するのも困難です。さらに、業種や目的によって成功の基準が異なるため、他社の成功事例を参考にした指標の目標値の設定や達成の判断も慎重に行う必要があります。

4.コンテンツマーケティングを行う手順

コンテンツマーケティングで成功するためには、戦略的なアプローチが不可欠です。以下では、効果的なコンテンツマーケティングを実施する手順を、6つのステップに分けて解説します。

STEP1.コンテンツマーケティングのゴールを設定する

コンテンツマーケティング成功には、明確なゴール設定が不可欠です。目的を具体的な数値目標に落とし込むことで、コンテンツマーケティング施策の方向性が決まります。まずは、目的を具体的に定めましょう。目的には、集客やコンバージョン獲得、ブランディングなどが考えられます。

目的が集客の場合はコンテンツへの流入数や閲覧数など、コンバージョン獲得を目指すなら、資料請求やお問い合わせ、メルマガ登録数などが目標です。ブランディングであれば認知度やイメージの向上を目標とします。

漠然とした目標ではなく、目的に応じて適切な数値目標を設定することが重要です。「6か月で商品成約率を20%増加」のように、具体的な数値で目標設定しましょう。

STEP2.ターゲットのペルソナを設計する

ゴールが明確に設定できたら、ターゲットのペルソナを設計します。ペルソナとは、対象となる典型的な顧客の具体的なイメージを設定したものです。単に「20~30代女性」といった属性だけでなく、名前・年齢・職業・収入・家族構成・趣味・嗜好・悩みなど、人物像を詳細に作り上げます。

ただし、ペルソナ設定は現実から乖離しすぎないよう注意が必要です。実際の顧客データを活用しながら、リアリティある人物像を作り上げなければなりません。

的確なペルソナを設定すれば、誰にコンテンツを届けるべきかが明確になり、ユーザーのニーズに合わせたコンテンツ作りができるようになります。最初は簡易的なペルソナから始め、市場調査や顧客データをもとに徐々に具体化するとよいでしょう。

STEP3.コンテンツのコンセプトを決める

コンテンツマーケティングを継続的に実施するには、コンテンツのコンセプトを事前に固めておかなければなりません。コンセプトを決めるには、以下の2点を押さえる必要があります。

・自社の強みや知見を生かせるか

・ターゲットとするペルソナのニーズに合っているか

「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかを、具体的に明文化しましょう。このコンセプトを運用メンバーで共有し、コンテンツ制作の指針とすれば、継続して質の高いコンテンツを発信しやすくなります。

また、外部への委託時にもスムーズに業務を進められるでしょう。長期的な施策となるコンテンツマーケティングでは、迷ったときにコンセプトに立ち返れるよう、最初に確立しておくことが大切です。

STEP4.カスタマージャーニーマップを作る

カスタマージャーニーマップとは、ペルソナが購買活動に至るまでのプロセスを図表にして可視化したものです。作成する際の大まかな手順は、以下の通りです。

1.ペルソナが商品・サービスの購入に至るまでの行動プロセス(気づき→認知→検討→購入→共有など)を設定する

2.プロセスの各段階において、ペルソナがどのコンテンツを通じて自社と関わるかを推察する

3.各段階でペルソナがどのような心理状態や行動をとるかを想定する

4.ペルソナの悩みや課題ごとに、必要とする情報は何かを考える

カスタマージャーニーマップを基に設計することで、ペルソナのニーズに合ったコンテンツを作成できます。カスタマージャーニーマップの作り方やなどについて以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

STEP5.コンテンツを作成する

カスタマージャーニーマップに基づき、コンテンツの内容やスケジュールを具体化し、コンテンツ作成計画を立てます。複数のメンバーが関与する場合は、担当者ごとの役割分担や期日、優先順位も明確にしておきましょう。計画に沿ってペルソナのニーズを意識し、コンテンツを作成・配信します。

記事コンテンツはSNSやメルマガにも流用するなど、効率化を図りつつ、月15~20本程度のペースを保つのが理想です。ゴールから逆算して効果の見込める施策を優先し、ニーズの高いときに向けてもコンテンツ投下のタイミングを図ります。質を落とさぬよう、ノウハウ不足の分野は外部委託を活用するなど、無理のないコンテンツ運用を心がけなければなりません。

STEP6.効果を測定する

コンテンツマーケティングは短期間で結果が出る施策ではないため、3か月経過後を目安として効果測定を開始するとよいでしょう。

効果測定の際は、Googleアナリティクスなどの解析ツールを活用します。設定したKPIに沿って定期的に進捗を確認し、数値の変化を追跡することが重要です。検索流入を狙うコンテンツなら検索順位や流入数、SNS配信ならクリック数やリーチ数などを測ります。CTAのクリック率など、コンバージョン率の分析も欠かせません。

効果測定を行いながらPDCAサイクルを回し、コンテンツの内容や配信方法を調整すれば、徐々にコンテンツマーケティングの精度を上げられます。

5.まとめ

コンテンツマーケティングは、ユーザーに価値のある情報を提供し、見込み客や既存顧客との信頼関係を築く手法です。SNSや自社ブログなどを利用して低予算で始められ、一度作成したコンテンツは長期間にわたり集客とエンゲージメントの向上に寄与します。また、SNSとの相性もよく、シェアを受ければ広範囲のユーザーと接点を作れ、顧客ロイヤルティを高められる点もメリットです。

ただし、コンテンツマーケティングは継続的な発信とユーザーニーズに応じた調整が必要で、即効性に欠け、効果測定が難しいデメリットがあります。そのため、長期間自社のマーケティングに伴走してくれるサービスを探すとよいでしょう。

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