カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーマップの作り方や注意点・具体的な事例を紹介!

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、カスタマージャーニーを可視化したものです。カスタマージャーニーに注目すると、CX(顧客体験)向上のヒントに気づきやすくなります。近年、カスタマージャーニーの複雑化に伴い、カスタマージャーニーマップを作る企業も増えています。

この記事では、カスタマージャーニーマップの作り方や事例などを解説します。作る際の注意点もぜひお役立てください。

1.カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーについての定義や歴史、最近よく言われるカスタマージャーニー自身の課題について解説します。

1-1.カスタマージャーニーとは顧客の利用プロセス

カスタマージャーニーとは「顧客が商品を知り購入を決め、利用して評価するといった購買行動」を時系列に並べたものです。企業と顧客との接点をタッチポイントと呼び、カスタマージャーニーでは顧客の購買行動全体を活性化するため、個々のタッチポイントの最適化を目的としています。近年はあらゆる媒体があふれ、タッチポイントの選定は容易ではありません。多くの企業がカスタマージャーニーを利用し、有効なタッチポイントを見つけようとしています。

1-2.カスタマージャーニーが始まった背景

カスタマージャーニーが始まった背景は、CX(カスタマーエクスペリエンス)設計にあります。CXとは「顧客体験」を指します。近年は、SNSやアーンドメディアなどにより口コミの影響力が高まっています。それらの関係性を可視化することで、企業は、インフルエンサーの影響を高めたり、逆に、風評被害を最小限にとどめたりすることも検討できるようになります。CX、CX戦略については以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

1-3.従来のカスタマージャーニーの課題

最近よく言われるカスタマージャーニーの課題は、スマートフォンやSNSの普及により、購入に至るまでの行動が複雑化しており、それをマップで表現することが難しくなってきているためです。顧客はあらゆる情報を取り入れながら、徐々に購入する商品を決めます。顧客が手にする情報は多くなり、従来のカスタマージャーニーのように購買行動を一直線では表現しづらくなっています。顧客が行ったり戻ったりして検索する行動は、蝶が羽根を広げた様子やサーキット場をイメージさせます。近年では購買行動をバタフライサーキットと呼ぶことも多くなってきています。

2.カスタマージャーニーのメリット

カスタマージャーニーのメリットについて解説します。複雑な購買行動を可視化し、CXを向上させましょう。

2-1.CX向上のため顧客中心のサービスを提供できる

カスタマージャーニーは顧客の感情にも配慮して、購入プロセスを考えるため、顧客目線で、かつ顧客に寄り添ったマーケティングを実行できます。売り手の思い込みで施策を行うリスクを減らし、商品やサービスの見直しにもつながります。

2-2.顧客の複雑な購買行動を解析・可視化・把握できる

購買活動における情報収集活動は複雑化しており、価値観も多様化しています。カスタマージャーニーを理解すると、ペルソナ(サービス・商品の典型的なユーザー像)ごとに顧客を理解でき、複雑な購買行動を可視化して把握できます。顧客分析手法の一つであるRFM分析については以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

【デジタルマーケティング担当者様のお悩み解決】LTV最大化のカギ!RFMセグメントの分析手法と実践例

2-3.一貫性のあるサービスを迅速に実現できる

カスタマージャーニーマップを作成する過程で、複数の関係者の主観を排除し、適切なパターンに区分することができ、共通認識が形成されます。それにより意思疎通が迅速に進み、スムーズに戦略を決定できるようになります。関係者のイメージがまとまっていれば一貫性のあるサービスを顧客に提供でき、ブランドの向上にもつなげやすくなります。

2-4.KPIを設定しやすい

カスタマージャーニーで顧客の行動を時系列に並べていくと、KPI(目標値)を設定しやすくなります。KPIのために測定された情報は、販売戦略上、とても重要な指標となります。また、KPIを改善する過程で様々なパターンの販売戦略を立案でき、売り上げ増加を目指す戦略も立てやすくなります。

2-5.ブランド力を向上できる

カスタマージャーニーはCX設計のためのツールであり、タッチポイントの最適化をはかれます。タッチポイントごとの顧客ニーズを理解し、ニーズに応える的確な情報発信やコミュニケーションができれば、CXが向上し、ブランド力の向上も期待できます。

3.カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップは、カスタマージャーニーを可視化するためのフレームワークです。初めて作成する場合は、簡単なテンプレートやツールを使用すると手際よく進められます。ホワイトボードや模造紙、付箋によるKJ法のようなブレストを行いながらの作成もおすすめです。また、ブレストは客観性を高めるため、できるだけ複数人で実施するようにしましょう。以下は、シンプルなカスタマージャーニーマップを作成する場合のフレーム例です。

カスタマージャーニーマップを作成する場合のフレーム例
  • カスタマージャーニーの可視化に使われるカスタマージャーニーマップは、マーケティングの専門家であるフィリップ・コトラーが社会に浸透させました。

カスタマージャーニーマップの横軸

カスタマージャーニーマップの横軸には、ユーザーの認知・興味や関心・比較検討・購入といった購買活動に必要なプロセス(フェーズ)を設定します。戦略や施策によってCXが変わるため、独自にプロセスを設定しても構いません。BtoCの場合は、SNSによる口コミの投稿などもプロセスにあげられます。複数の決裁者が存在するBtoBでは、稟議や承認なども含めましょう。

カスタマージャーニーマップの縦軸

カスタマージャーニーマップの縦軸には、顧客を理解するのに必要な要素を設定します。タッチポイント・チャネル・ユーザーの行動や感情・ユーザー像・課題などがあげられます。

4.カスタマージャーニーマップを作る手順

カスタマージャーニーマップは、フレーム作成・ペルソナ設計・情報収集・マッピングの手順で作成します。世の中の流れを鑑みて、ペルソナ設計から情報収集を適時繰り返してマップを更新しましょう。

5.カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップの作り方を、以下の6つのステップに沿って解説します。

テーマや範囲・目的を決める

どの商品やサービスを対象にするのか、カスタマージャーニーマップのテーマを決めましょう。また、顧客のどの行動からマップをスタートするか、ゴールをどこに設定するかも決める必要があります。ゴールに設定するフェーズは、BtoCであれば商品の購入や購入後の口コミ投稿までにするのか、購入後のサポートから再購入までを含めるのか、BtoBであれば資料請求や問い合わせをいただくまでなのか、商談から契約締結に至るまでを含めるのかなどを検討する必要があります。

ペルソナを設定する

商品やサービスを利用する、典型的な顧客像がペルソナです。実在する人物をイメージし、年齢や性別・職業・住所・趣味・家族構成・休日の過ごし方などを詳しく設定しましょう。ペルソナを作り込むほど顧客に対する理解が深まり、ニーズに合う戦略を検討できます。ただし、企業側の主観にもとづく都合の良い人物像をペルソナにしてしまうと、マーケティングに失敗します。実際に顧客候補となる人物にインタビューを行うなど、客観的な情報をもとにペルソナを設定するよう注意が必要です。

タッチポイントの洗い出しをする

考えられる限りのタッチポイントを列挙します。タッチポイントは、電話や店舗などでの直接的な接触と、メールマガジンや公式サイトなどでの間接的な接触に分けられます。洗い出したタッチポイントは、プロセスごとに整理しましょう。

情報収集から顧客の行動・感情・思考を洗い出す

顧客の行動を洗い出し、行動に紐付けて感情や思考も整理しましょう。感情や思考といった不確かな情報は、顧客へのヒアリング・アンケート・カスタマーサポートでの対応履歴・商談時のメモなどを参考にして洗い出します。ポジティブな情報もネガティブな情報も、いずれも必要です。ネガティブな情報は課題として捉えましょう。

課題に対して対応策を考える

現状の課題を把握し、解決案を考えましょう。顧客がネガティブな感情・思考を抱いているタッチポイントを見つけ、ポジティブな気持ちを持ってもらうことを目指します。

マップに仕上げる

洗い出した情報は、付箋に書き出しておくと便利です。ブレストしながら付箋の位置を検討し、パワーポイントなどでマップ化したものを担当者間で共有しましょう。担当者1人でマップを作るよりも、複数人でブレストした方が客観性の高いマップに仕上がります。

6.カスタマージャーニーマップの注意点

カスタマージャーニーマップの注意点を解説します。顧客視点を強く意識し、マップの作成自体が目的にすり替わらないように注意しましょう。

6-1.必ず顧客視点になるよう気を付ける

売り手の都合がよい情報をカスタマージャーニーマップに落とし込んではいけません。カスタマージャーニーマップは、調査やデータに基づいて作ります。情報がなく推測した部分については、仮説検証を行ってからマップに取り入れましょう。

6-2.最初から完璧を目指さない

カスタマージャーニーマップは、わかるところから情報を埋めていき、適時アップデートしましょう。マップはCX向上のために作るものであり、作成自体が目的になってはいけません。マップ作成の時間配分を定め、効率よく取り組みましょう。

6-3.必ずバージョンアップを行う

購買行動の移り変わりは目まぐるしいため、半年~1年を目安にカスタマージャーニーマップの見直しを行いましょう。ほかにも、キャンペーンなど購買行動に影響を及ぼす外部要因、内部要因の発生タイミングでの見直しが必要です。

7.カスタマージャーニーマップの実例・解説

カスタマージャーニーマップの作り方の実例を紹介します。自社で作る際にぜひお役立てください。

7-1.スライド(エクスペリエンス・マッピングガイド)

世界に名を馳せるUX AgencyであるAdaptive Path Inc.が、エクスペリエンスマップの作り方を公開しています。厳密にはカスタマージャーニーマップとは異なりますが、参考になるはずです。

7-2.Webサイト(Web担当者forum)

Web担当者forumでは、実際にカスタマージャーニーマップを作っている様子が詳細に解説されています。数多くの画像や写真があるため、ブレストの進め方など、イメージしやすくなると思います。

8.カスタマージャーニーマップのおすすめテンプレート

テンプレートがあれば、速やかにカスタマージャーニーマップを作れます。おすすめのテンプレートを紹介します。

8-1.ミエルカ

ミエルカでは、ペルソナとカスタマージャーニーのテンプレートをダウンロード可能です。具体例を交え詳細に作り方の解説が掲載されているため、初めてマップを作る人も取り組みやすいです。

8-2.ferret

ferretでは、会員登録後にカスタマージャーニーマップのテンプレートをダウンロードできます。詳細な解説もされており、別サービスが提供するテンプレートも紹介されています。

9.まとめ

CX向上のためには、カスタマージャーニーの可視化が必要です。カスタマージャーニーマップを作り、プロセスごとに課題を洗い出しましょう。初めてカスタマージャーニーマップを作るときは、テンプレートやマーケティング戦略策定サービスを利用するとスムーズです。

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