ECサイトの運営とは?
業務内容や求められるスキルを徹底解説!

ECサイトの運営とは

近年ではインターネットの普及に伴い、EC事業への参入を図る企業が急増しています。

ECサイトの運営にはサイト制作のほか、企画や仕入れ、マーケティングをはじめとしたさまざまな業務が欠かせません。これらの業務は多岐にわたるため、仕事内容によって求められるスキルが異なる点や事業規模によっては多くの人員が必要となる点に注意が必要です。

この記事では、ECサイト運営に興味がある未経験者・新たにECサイト運営を任された担当者の方に向けて、リアル店舗(実店舗)運営との違いや主な業務内容、必要コスト、運営に求められるスキルを挙げながら解説します。ぜひお役立てください。

1.ECサイトの運営とは?

スマートフォンが普及した近年、「ECサイト(ネットショップ・ネット通販)」の重要性は増しており、今後も成長が予測されています。流通・小売業界の事業者にとっては、新たなビジネスチャンスを得られるプラットフォームと言えるでしょう。

そもそもECサイトとは、オンライン上で商品・サービスを販売する通販サイトの総称です。ECサイトのECは「Electronic Commerce(エレクトロニックコマース)」の頭文字をとった略称であり、日本語では「電子商取引」と呼びます。

ECサイト運営は、自社ECサイトで継続的な売り上げを発生させるため、さらにスムーズかつ便利なショッピング体験を提供するために、コンテンツの制作・整備を行う業務のことです。

主に「フロント業務」と「バックエンド業務」の2つに大別され、リアル店舗(実店舗)の運営よりも複雑な業務が必要となります。それぞれの具体的な業務内容は、下記の通りです。

フロント業務

「商品の企画」や「仕入れ・製造」、さらに「マーケティング」や「商品登録・サイト更新」など、売り上げに直結する業務が該当します。

バックエンド業務

「受注管理」や「在庫管理」、「梱包・配送」など、売り上げに直結しない商品販売後の業務が該当します。

ECサイトについては以下の記事でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

2.ECサイト運営とリアル店舗運営の違い

かつて、商品・サービスを販売する事業者にとってはリアル店舗の運営が基本でしたが、インターネットの普及に伴い、現在ではECサイトの運営と併用する形が主流になりつつあります。

ECサイトとリアル店舗の運営には、いくつかの大きな違いがあります。

ECサイトとリアル店舗の違い

  • 販売場所
  • 販売時間
  • 販売可能な商品種類
  • コスト
  • 顧客対応
  • 購入プロセス
  • 決済方法
  • 商品の届け方
  • 信用性・・・など

リアル店舗には物理的な店舗が必要であり、商圏は店舗近隣に限られます。販売時間は店舗の営業時間に依存するほか、家賃や外装・内装費、水道光熱費や人件費などで多額の開業資金・ランニングコストが必要となります。

しかし、リアル店舗は店舗としての実体があり、消費者は実際に商品を手に取ってから購入できることから安心感を与えやすいビジネスモデルと言えます。

一方で、ECサイトはインターネット上が主な販売場所となり、商圏が限定されることもありません。販売時間に縛りもなく、消費者は24時間365日閲覧・注文が可能です。また、運営費用は初期のECサイト構築費や業務システム費などが中心となり、比較的低コストである点も特徴となっています。

しかし、店舗として実体がなく、消費者は商品写真や商品説明文でしか情報をキャッチできないことから、リアル店舗に比べて信用が得られにくい傾向にあります。

3.ECサイト運営の主な業務内容9つ

ECサイト運営の主要な業務は、フロント業務5種類とバックエンド業務4種類の合計9種類に分類されます。ここからは、フロント・バックエンドそれぞれの主な業務内容を、ECサイト運営の基本的な順に沿って詳しく紹介します。

3-1.商品の企画|フロント

ECサイトの運営においてまず重要となるのが、商品の企画です。商品の企画とは、サイト上で販売する商品を検討・決定する業務のことで、フロント業務にあたります。

ECサイトで売上・利益を上げるためには、顧客のニーズに適した商品を取り扱い、購入してもらうことが重要です。そのため、商品の企画においては、トレンドやターゲットニーズをしっかりリサーチして商品を選定・開発するほか、適切なタイミングと価格帯で販売しましょう。

また、原価率・利益率を考慮したプランニングも欠かせません。各商品の原価率・利益率を計算した上で、最低でも半年から1年先の売上予測を行うなどして、綿密にプランを作成しましょう。

3-2.仕入れ・製造|フロント

商品の企画を経て取扱商品を決定した後は、その商品をどのような経路で確保するかを決めましょう。

他社の既存商品を取り扱う場合はどこに発注するかを検討し、自社開発の商品であればどこで製造するのかを決めます。仕入れ・製造プロセスは、ECサイト運営における重要なフロント業務の1つです。

初めは企画時に立てた販売計画に基づき商品の仕入れ・製造を行いますが、売れ行きや顧客の反応が良かった場合は発注・製造数を増やすなど、状況に応じた柔軟な対応が求められます。

3-3.マーケティング|フロント

単純にECサイトを立ち上げ、仕入れた商品をECサイトに登録するだけでは、売上増加は見込めません。継続的に商品が売れる仕組みを構築するためには、消費者に対する積極的なアプローチが重要となります。そこで重要となるのが、マーケティングです。

ECサイトのマーケティングにおいては、インターネットを利用したプロモーション(デジタルマーケティング)がメインとなります。下記は、ECサイトにおける代表的なプロモーションです。

  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • SNS広告
  • SNS広告
  • コンテンツマーケティング(オウンドメディア×SEO)

インターネットを利用したプロモーションには、即効性が期待できるものと、中長期的な取り組みが必要なものがあります。たとえば、リスティング広告は即効性が期待できる一方で、コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間を要することが特徴です。

しかし、成果が出るまでに時間を要するコンテンツマーケティングは即効性の高いマーケティング手法に比べてコストを抑えられるほか、中長期的な取り組みによって安定した集客が期待できる点がメリットとなります。

そのため、即効性の期待できるプロモーションと中長期的なプロモーションをバランス良く組み合わせて取り組むことが大切です。

デジタルマーケティングについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

3-4.商品登録・サイト更新|フロント

決定したマーケティングの実施とともに、ECサイトに商品を登録して更新します。商品登録・サイト更新はフロント業務にあたります。

ECサイトのユーザビリティは、売り上げに直結すると言っても過言ではありません。たとえ魅力的な商品を登録しても、ページ構造が複雑で商品を探しにくかったり、購入までのフローが分かりにくかったりするECサイトはユーザーにとって利便性が低くなります。離脱の原因となるため、ユーザーの購買行動を意識した使い勝手のよいデザインを設計することが大切です。

また、ユーザーが実際に商品を手に取って確認できないECサイトでは、「いかに丁寧かつ正確な商品詳細を登録するか」も売り上げを左右する重要なポイントとなります。仕入れた商品のささげ業務(撮影・採寸・原稿)を行い、商品の魅力を訴求できる商品情報を登録することで、ユーザーの購入意欲をさらに高められるでしょう。

以下では、顧客への「おもてなし」の心をデジタルで実現するために実施した、たねやグループ様のECリニューアル事例について紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

3-5.サイトの継続的な改善|フロント

ECサイトの販売力を強化するためには、サイト訪問者の行動を分析し、適切に改善していくことが重要です。サイト管理・改善はフロントの重要な業務であり、効果的な販売促進の実現に欠かせません。

ECサイトにGoogleアナリティクスをはじめとした解析ツールを導入することで、流入経路やアクセス数を詳細に分析できます。これにより、訪問数の多いページや検索キーワードなど、訪問者の行動を把握することが可能です。

サイト分析によってECサイトの課題が明らかになった後は、分析データに基づきマーケティング手法を見直したり、デザイン・コンテンツを再構築したりするなど、適切な改善を行いましょう。

アクセス解析やデータ分析について、自社で対応するリソースやノウハウがない場合は、altcircleのコンサルティングサービスやマーケティング伴走サービスの利用をご検討ください。詳しくは下記をご覧ください。

3-6.受注管理|バックエンド

受注管理とは、注文の受付から出荷管理までに発生する業務のことで、バックエンドにおけるメイン業務の1つとなります。具体的な業務としては、「在庫の確認」「注文書の作成・確認・送信」「受注伝票の作成」「出荷準備」が挙げられます。

ECサイトで商品に対する注文が入ったら、まずはECシステムに注文情報の詳細が取り込まれます。この注文情報をチェックした上で、該当商品の在庫を確認し、購入者に対して注文確認メールを配信します。

基本的に購入者は、購入から受注確認・発送までのプロセスがスムーズに進むものだと想定しています。そのため、受注管理業務は対応スピードが非常に重要です。

また、受注管理は購入者と直接関わる部分でもあります。万が一ミスやトラブルが生じた場合は購入者に大きな不信感を与えるおそれがあることから、ECサイト担当者には的確さも求められます。

できる限りヒューマンエラーを軽減させるためには、受注ワークフローの自動化と工数の削減につながるECシステムの導入がおすすめです。

3-7.在庫管理|バックエンド

在庫管理とは、取扱商品の販売計画や実際の売上状況に基づき、適切な在庫量を確保する業務のことです。バックエンドにおけるメイン業務の1つであり、EC運営においては特に慎重な判断と対応が求められる業務とも言えます。

商品の在庫が少なければ、販売機会を逃してしまう「在庫切れ」のリスクが高まります。反対に、在庫が多すぎると保管コストの増加や売れ残りが発生するおそれがあります。したがって、常に適正な在庫量を維持することが重要です。

また、ECサイトとリアル店舗のいずれも運営している場合、在庫管理はさらに複雑化します。適正在庫で管理するためには、両者の在庫状況をリアルタイムで連携しつつ適切な在庫量に調整できるようにすることが理想です。しかし、これを人力でやるには相当な工数とリソースが必要となるため、在庫管理システムの導入も検討するとよいでしょう。

3-8.梱包・配送|バックエンド

商品の注文を受けて在庫確認が済んだ後は、出荷指示に従い倉庫から商品をピックアップして商品を出荷できる状態に梱包し、配送業者に引き渡します。この出荷作業も、バックエンドのメイン業務の1つです。

質の高い梱包資材の選定や梱包方法は、出荷業務において非常に重要な要素です。また、梱包はショップの個性を反映する部分でもあります。オリジナルの包装材や手書きのお礼状などを同封することで顧客に自社を印象づけることができ、リピート購入の促進にもつながるでしょう。

また、配送業者の選定も重要なポイントです。配送商品の大きさや個数によって送料は細かに異なります。各業者のサービス・強みを比較し、状況に応じて最適な配送業者を選ぶことで、コストの最適化を図れるでしょう。

3-9.アフターフォロー|バックエンド

アフターフォローとは、商品の取引完了後に、購入者に対して行うサービス・サポートのことです。バックエンド業務の1つとなります。

アフターフォローと一口に言っても、その内容は多岐にわたります。代表的な内容としては、「お礼メールの送信」「レビュー投稿依頼」「クーポン配布」「クレーム・返品対応」などが挙げられます。

アフターフォローはリピーターの獲得につながる大切な業務ではあるものの、過度なフォローはかえって嫌がられる可能性があるため、バランスを考慮しつつ適度に取り組むことが大切です。

反対に、購入者からの不良品の問い合わせ・返品依頼やクレームには迅速かつ誠意をもって対応する必要があります。担当者の対応力が問われる業務と言えるでしょう。

ここまで紹介したバックエンド業務はECサイトの運営には不可欠なものですが、すべてを自社で対応することがリソース面やノウハウ面で難しい場合には外注する選択肢も存在します。ロジスティクスやカスタマーサポート、商品コンテンツ制作など、一連のバックエンド業務に対応した「フルフィルメントサービス」を提供するパートナーを選定すれば、自社の負担を軽減しつつ、サービスの品質を向上させることにもつながります。

フルフィルメントについては以下で解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

4.ECサイトの構築・運営に必要な費用

前述の通り、基本的にECサイトの構築・運営にかかるコストはリアル店舗に比べて少ないものの、サイト規模や運営担当者の人数によってはより大きなコストがかかる可能性もあります。

また、ECサイトの必要コストには「ECサイトそのものの構築・維持にかかるコスト」と「ECサイトを運営するにあたってかかるコスト」の2つに大別されます。ここからは、各コストの詳細と相場について詳しく紹介します。

4-1.ECサイトの構築・維持にかかるコスト

ECサイトの構築・維持にかかるコストは、ECサイトの構築手法によって大きく異なることが特徴です。代表的な構築手法ごとの想定コストは、下記の通りとなります。

他社運営モールへの出店

楽天市場やAmazonなど、母体となるショッピングサイトに出店するタイプです。出店手数料や初期登録料の目安は10万円程度、維持費用(月額)の相場は0円から10万円と、ECサイト運営初心者の方でも始めやすい価格帯となっています。

SaaS/ASP/パッケージを利用したECサイト

サービス事業者が提供するECプラットフォーム構築サービスを利用してECサイトを構築するタイプです。構築費用の相場は契約プランによって大きく変わるため一概には言えませんが、小規模なものであれば数十万円から構築ができます。維持費用の相場も同様に契約プランに応じて変動します。

フルスクラッチ型ECサイト

自社でシステムをゼロから開発し、オリジナルのECサイトを構築するタイプです。カスタマイズ性が非常に高い一方で、構築費用は数千万円単位で発生するほか、毎月の維持費用もそれなりにかかります。

また、ECサイト構築後の維持には、ドメイン費用やサーバー費用をはじめとしたさまざまなコストがかかることを覚えておきましょう。サイトの規模や担当者の人数などによって変動するため、一概にいくらとなるかを断定することは難しいため、以下は一例として記載します。

ドメイン費用

Webサイトのアドレスを示すドメインの取得・維持にかかる費用です。相場は年間約500円から6,000円ですが、ドメイン名によっても大きく異なります。

サーバー費用

サイトの稼働に必要なサーバーの運用・維持にかかる費用です。他社と共有する環境でサーバーを用意する場合の相場は年間500円から10,000円程度です。自社専用のサーバーを用意する場合は、その限りではありません。

独自SSLサーバー証明書

ECサイトが安全に通信を行うためのセキュリティ対策にかかる費用です。無料のものと有料のものがあり、有料の場合は年間約10,000円から90,000円が相場となります。

EC作成サービス・カートシステム利用料

ECサイトの作成・構築サービスを利用した場合や、カートシステムを利用した場合にかかる費用です。相場は利用するサービスや契約プラン、運営するECサイトの規模によって大きく異なり、年間数万円から数百万円となります。

なお、他社の運営するモールへ出店する場合は、モール共通のドメインやサーバーがすでに設定されているため、別途料金が発生することは基本的にありません。

4-2.ECサイトの運営にかかるコスト

ECサイトの運営にかかるコストには、下記が挙げられます。

決済代行サービス手数料

ECサイトでの取引において、決済プロバイダが提供する支払い処理サービスの利用時にかかる費用です。相場は売り上げの3%から5%となります。

フルフィルメント費用

ECサイト運営における配送・物流業務にかかる費用です。配送料は1回あたり300円から2,000円、梱包材料は1個あたり100円から500円が目安となります。

マーケティング費用

ECサイトのプロモーションにかかる費用です。手法によって費用は大きく異なります。さまざまなプロモーションを組み合わせる場合は、月に数十万円以上かかることもあります。

コンテンツ作成費用

商品画像の撮影や編集、説明文の作成にかかる費用です。自社で行う場合は人件費が発生し、プロに依頼する場合は依頼費が発生します。

人件費・外注費

ECサイトの運営に携わるスタッフの給与や雇用関連費用が含まれます。一部業務を社員ではなく外部に依頼する場合は、外注費が発生します。

5.ECサイトの運営に求められるスキル

ECサイト運営業務においては、さまざまなスキルが求められます。

ここからは、ECサイトの運営に求められる主なスキルの詳細を、必要な場面とともに詳しく紹介します。必要なスキルを習得するため、あるいは必要なスキルを有した人材を確保するためにも、ぜひ参考にしてください。

5-1.商品企画・マーチャンダイジングスキル

ECサイトの運営においてまず必要となるスキルが、商品企画・マーチャンダイジングスキルです。マーチャンダイジングスキルとは、ターゲットとする顧客層に対して、商品を的確な数量・場所・タイミングで提供するための企画力や管理能力を指します。

競合が多いEC市場では、リピーターを確保し売り上げを着実に伸ばしていくためにも、他社との差別化を図ることが重要です。自社ならではのコンセプトづくりや、コンセプトと市場ニーズに沿ったオリジナル商品の開発に向けては、商品企画・マーチャンダイジングスキルが大きな役割を果たします。

また、市場ニーズは常に変化しています。そのため、トレンドや消費者の関心をリアルタイムで把握するためにも市場調査を継続し、必要に応じて柔軟に戦略を見直していくことも重要です。

5-2.Webデザインスキル

ECサイトの運営とWebデザインのスキルは、切り離せない関係にあります。

ECサイトの見た目や操作性は、売り上げに大きな影響を与えます。スムーズに商品を購入できるシンプルかつ洗練されたデザインのECサイトは、ブランドイメージや信頼感の向上にもつながるでしょう。

Webデザインスキルを高めるためには、基本的なデザインスキルを広く習得することはもちろん、デザインツールを使いこなすための技術力やある程度のコーディング・プログラミング知識が不可欠です。

また、SNSを利用した販促が注目されている近年では、商品の使い方や実際に使用した様子を紹介する動画コンテンツが多くのユーザーの目にとまりやすい傾向にあります。今後は、Webデザインと同様に動画制作・編集スキルも重要となるでしょう。

5-3.Webマーケティングスキル

Webマーケティングスキルとは、オンライン上で商品・サービスを効率的にプロモーションし、ターゲットとなる顧客層にリーチするための能力を指します。

Webマーケティングスキルと一口に言っても、その範囲は非常に広く、どのマーケティング手法を用いるかによって必要なスキルも変わってきます。下記は、ECサイト運営において特に求められるWebマーケティングスキルです。

  • 広告運用スキル
  • SNS運用スキル
  • メールマーケティングスキル
  • コンテンツ企画・作成スキル
  • データ分析力

これらのスキルは、Webマーケティングの手法やプロモーション戦略に応じて適切に活用することが重要です。基本的にWebマーケティングはいくつかの手法を組み合わせて取り組むため、いずれかのスキルに絞って専門性を高めるよりも、各スキルをバランス良く磨くほうが望ましいでしょう。

5-4.SEO対策・ライティングスキル

ECサイトの流入数やアクセス数を増やすためには、SEO対策・ライティングスキルが欠かせません。SEO対策とは、検索エンジンで上位表示を獲得し、検索結果からの流入を増やすことを目的とした施策です。

ECサイトで買い物をするユーザーの中には、商品タイトルや商品紹介文をしっかりと読んでから購入を判断する方も多く、実は文章力が重要な役割を果たします。オウンドメディアを活用する場合は、より高度なライティングスキルが求められるでしょう。

なお、SEO対策・ライティングスキルは広義のWebマーケティングスキルにも含まれますが、これらのスキルは売り上げだけでなくECサイトそのものの評価を高める点でも有効です。

検索エンジンで高い評価を得られれば上位表示が容易になり、継続的な集客が可能です。結果として、多額の広告費をかけずとも大きな集客効果を得られるようになります。

5-5.カスタマーサポートスキル

カスタマーサポートスキルとは、顧客からのクレーム・問い合わせ対応や購入後のアフターフォローを通して、顧客満足度を高める能力を指します。主にバックエンド業務における顧客との直接的な接点となる場面で発揮するスキルであり、ECサイト運営においても重要な役割を果たします。

カスタマーサポートスキルを磨くためには、下記4つのスキルを伸ばすことが重要です。

  • 商品知識
  • コミュニケーション力
  • ヒアリング力
  • 課題解決力

顧客が感じている不満や課題を的確に把握し、適切な解決策を提示することで、信頼関係の構築・売り上げの増加・リピーターの確保といった成果につながります。

6.ECサイトの運営担当者が売り上げを伸ばすコツ

ECサイト運営を成功させるために必要な知識や方法にフォーカスして業務内容やスキルを紹介しましたが、EC事業者にとって最も重要視したい点はやはり「売り上げ」でしょう。

そこで次に、EC担当者が売り上げを伸ばすためにできるコツ・近道について分かりやすく紹介します。

6-1.競合他社と差別化する

EC市場は拡大傾向にあり、競争も激化しています。他社ECサイトと同じような商品ラインナップを提供しているだけでは差別化が図れず、売り上げの向上やリピーターの獲得は困難となります。競合がひしめく中で成功を収めるためには、他社との差別化をしっかりと行うことがポイントです。

ユーザーに自社の強みや独自性、価値を伝えるためには、ECサイト上で商品の品質やコンセプトを訴求するだけでなく、ユニークなキャンペーンを展開することも効果的です。また、ターゲット層に響くブランドストーリーの構築やストーリーテリングといった独自のマーケティング手法の活用も有効な差別化戦略と言えるでしょう。

6-2.ユーザーが使いやすいサイトデザインにする

ECサイトのデザインは、商品の魅力を引き出すだけでなく、「ユーザーが快適にショッピングできるかどうか」にも大きく影響します。

ECサイトが使いにくければユーザーはストレスを感じ、離脱の要因となるでしょう。使いやすいサイトデザインは、売り上げの向上、ひいてはECサイト運営の成功に直結すると言っても過言ではありません。

売れるサイトデザインにするためには、下記のポイントをおさえておきましょう。

  • シンプルで分かりやすいデザインを心がける
  • あらゆるデバイスに対応できるレスポンシブデザインを取り入れる
  • ユーザーが直感的に購入ページまで辿り着ける構造にする
  • 関連項目をまとめて導線を分かりやすくする
  • イメージしやすい商品画像を設定する
  • ファーストビューにユーザーの目を引く情報を入れる
  • ブランドイメージに沿った配色にする

たねやグループ様のECサイトリニューアルでは、「ブランドを大切にしたサイト構成と商品の魅力が伝わるデザイン」を改善ポイントとして、altcircleがサイトデザインコンセプトの策定からご支援いたしました。たねやグループ様のサイトリニューアルについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

6-3.越境ECを展開する

EC市場の拡大に伴い、越境ECも重要な戦略となっています。越境ECとは、国境を越えて行われる電子商取引のことです。商圏が大幅に広がり、新たな顧客層をターゲットにできます。これにより、売り上げアップに寄与する新たなチャンスを生み出せます。

越境ECの展開を成功させるためには、現地の文化や法律、さらに消費者のニーズを理解した上で、商品の魅力を適切に伝えることが大切です。

越境ECについて以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

6-4.ユーザーの購入単価を上げる

ユーザーの購入単価を上げることは、売り上げ増加に導くための重要な施策であり、最も近道の施策とも言えます。しかし、やみくもに購入単価を上げようとすると顧客離れを引き起こすリスクもあるため、顧客のニーズに応じた適切な方法でアプローチをかけることが大切です。

購入単価を上げるための代表的な施策としては、セット販売やまとめ買い値引き、アップセル・クロスセルの提案が挙げられます。また、顧客ロイヤルティを高めることも、客単価の向上に向けた中長期的な施策の1つと言えるでしょう。

これらの施策を効果的に行うためには、デジタルマーケティングも欠かせません。顧客データに基づくターゲティング広告やパーソナライズ提案など、顧客ごとにアプローチをかけることで、より効率的な購入単価の向上が期待できます。

6-5.リピーターを育成する

リピーターの獲得・育成は、ECサイトの長期的な成功に欠かせません。なぜなら、リピーターを育成するほうが新規顧客を獲得するよりもコストが低いほか、売り上げを安定させる効果があるためです。

リピーターを育成するためには、複数のチャネルで顧客との接点をつくりながら信頼関係を築き、「再度購入したい」と思ってもらえるような魅力的な施策を行い続けることが大切です。具体的には、会員限定特典の充実、定期的なキャンペーン実施・クーポン配布などが挙げられます。

また、リターゲティング広告の配信など、顧客の購買履歴を分析したデジタルマーケティングを活用することで、リピーターの育成効果をより高められるでしょう。

新規顧客のリピート率向上のための取り組みや施策の効果が実感できていない、または効果的な施策が実施できているかわからないなどの課題を抱えているECビジネス担当者の方も多いのではないでしょうか。オルトサークル(altcircle)では、「リピート率向上に向けた施策」のご提案を始め、マーケティングにデータを活用し、「施策の立案から実施、効果検証、貴社にとってよりよい次期施策の立案」といった一連のプロセスをご支援しております。オルトサークル(altcircle)の「伴走型マーケティング運用」については以下でご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

6-6.リアル店舗とのシームレスな連携

ECサイトとリアル店舗のどちらも運営している場合は、両者の連携強化が重要です。

オフラインのリアル店舗とオンラインのECサイトをシームレスに連携・統合することで、それぞれのメリットを生かしたシナジー効果が期待できるほか、ユーザーの利便性向上・ブランドや信頼性の向上につながります。

ECサイトとリアル店舗のシームレスな連携の実現に向けた手段としては、下記が挙げられます。

  • ポイントシステムの共通化
  • クリック&コレクト(ECサイトで商品購入・リアル店舗で商品受け取り)の導入
  • ECサイトでリアル店舗在庫の取り寄せや取り置きを行えるようにする
  • リアル店舗で購入した商品と相性のよい商品をECサイトでレコメンドする・・・など

ECサイトとリアル店舗のシームレスな連携を効率的に進めるためには、OMO(Online Merges with Offline)戦略を取り入れることが有効です。OMOを活用すれば、オンラインとオフラインの垣根をなくし、一貫したショッピング体験を顧客に提供できます。

OMOについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

EC化率30%を実現した『オンワードグループのデジタル戦略』とは

7.ECサイトの運営を改善するためのチェックポイント

ECサイトの運営を改善するためには、定期的な運営状況の見直しと問題点の把握が重要です。問題点が明らかになったら、できる限り早い段階で改善策を講じましょう。

EC運営業務の改善に向けたチェックポイントは、下記の通りです。

  • アクセス数の多いページ(ボリュームゾーン)の数値データを確認する
  • ユーザーの属性と流入経路を把握する
  • CVRの高いページ・低いページを確認する

まずは、ECサイト内でどのページのアクセス数が最も多いのかを確認しましょう。アクセス数が少ないページを改善するよりも、ボリュームゾーンを改善するほうが高い改善効果が見込めます。

その後、訪問ユーザーの属性(年代・性別・時間帯・デバイスなど)と流入経路について確認しましょう。ユーザー属性の特定はニーズの把握につながります。流入数の多い経路から優先して改善することで、より大きな効果が期待できます。

また、CVRの高いページと低いページを確認することは、離脱の原因特定にもつながるでしょう。「アクセス数は多いもののCVRが低いページ」であれば、離脱率の原因となる問題を発見しやすくなります。

ECサイトの運営改善は、細かなデータの分析と的確な対応がカギを握ります。アクセス数の多いページやユーザー属性、流入経路、CVRを把握することで、どこに改善が必要かが明確になります。

これらのポイントに対する持続的な改善を行いながらサイト全体のパフォーマンス向上を目指すことで、より効率的な運営が可能となるほか、売り上げの向上にも寄与するでしょう。

8.まとめ

ECサイトの運営業務は、売り上げに直結するフロント業務と、商品販売後のバックエンド業務の2つに分けられます。いずれもECサイト運営に不可欠であり、それぞれ求められるスキルも異なります。

ECサイトの売り上げを伸ばすためには、必要なスキルを習得するだけでなく、競合他社との差別化を図るための施策を実施したり、ユーザーが使いやすいサイトデザインに改善したり、リピーター育成に力を入れたりすることが重要です。

altcircle(オルトサークル)では、EC/OMOビジネスをトータルでサポートする「ECプラットフォーム」や、ECの売上向上に欠かせないデジタルマーケティング運用を支援する「伴走型マーケティング運用」の2つのサービスを提供しております。ECサイトの運営を成功させたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ECプラットフォームサービス・伴走型マーケティング運用については以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

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