コンタクトセンターにおけるDXとは?
推進方法や成功のためのポイントを解説!

コンタクトセンター DX

DXとは、「新しいビジネスモデルを創出する」「業務を効率化することで従業員の業務負担軽減・満足度向上をはかる」「顧客体験を向上させる」などを目的にした、デジタル技術を用いた一連の取り組みを総称する用語として用いられています。近年は、コンタクトセンターにおいても積極的にDXに取り組む企業が増えています。

この記事では、DXの推進の検討をされている方へコンタクトセンターにおけるDX推進のメリットや具体的な成功のポイントについて解説します。ぜひお役立てください。

1.そもそもDXとは?

DXの概念は、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が発表した論文によって、デジタル技術の活用により社会全体や生活の質を高めることとして発表され、多くの人から注目されるようになりました。「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」を略してDXと呼んでいます。

2.DXが注目されている理由

日本国内では2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」から注目が集まるようになってきました。このレポートでは、2025年までに企業がDXに取り組まなかった場合のリスクに着目して説明されており、DXを推進しない企業はビジネスにおいて不利になるだけでなく、システムトラブルやセキュリティの問題につながる恐れも生じると定義されています。

「DXレポート」では、企業がDXを推進するためのポイントについても記載されています。業務環境をオンライン化し、業務効率化をはかる方法や顧客接点をデジタル化するためのステップなどが記載されています。また、2020年には、DXに関する政策を取りまとめた「DXレポート2」が発表されました。

3.コンタクトセンターにおけるDX

コンタクトセンターでは、顧客のニーズに合うチャネルを展開するとともに、常にサポート品質も高める命題があり、それらを実現するために、DXに取り組む企業が増えています。その一環として、顧客からの問合せ等にスピーディに回答し、課題を解決する必要があり、その上でもコンタクトセンターにおけるDXへの取り組みは大きな意味を持っています。

3-1.コンタクトセンターのDXが必要とされる理由

コンタクトセンターでは質の高い応対が求められるため、企業は優秀なオペレーターの育成に力を入れています。また、採用の困難さからくる人材不足の課題や昨今のコロナ禍における密の回避などの課題を解決する手段として、在宅でのオペレーションも注目されています。ただし、セキュリティやインフラの整備などがネックとなることも多く、その対策として、コンタクトセンターでのDX推進が必要とされています。

また、自社の社員だけでDXを進めるのではなく、特定の業務を委託するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)も併用することで自社の社員をコア業務に集中させる企業も増えてきました。

4.コンタクトセンターでのDX推進によるメリットとは

コンタクトセンターでのDX推進によるいくつかのメリットを紹介します。

4-1.顧客満足度が向上する

コンタクトセンターにお電話される顧客は、事前に企業のホームページなどで「知りたいこと」を調べ、不明な点をお電話で確認するケースがほとんどです。たとえば、ホームページで顧客が迷ってしまったり、調べ方が解らなかったりした場合などに、その状態を察知して自動で適切なアドバイスをレコメンドする仕組みを取り入れることで、商品やサービス利用時のお客様のストレスや労力を最小限にし、快適に利用できる「エフォートレス体験」を提供できるようになり、顧客満足度を向上させることができます。

エフォートレス体験とは

エフォートレス(effortless)とは「努力を要さない」ことを指し、顧客が商品やサービスを利用する際に使う時間や労力が少ないことを意味します。

商品やサービス利用時の顧客のストレスを最小限にし、快適に利用できることはエフォートレスな体験と呼ばれており、企業が顧客に「先回り」して不安や不満を取り除けるようなサービスを提供することが近年求められるようになってきており、顧客満足度向上の有効な手段として注目されています。

4-2.業務の効率化が実現する

最近のコンタクトセンターでは電話だけでなく、メール、チャットなど、様々な顧客応対を行っています。DXを取り進めることにより、顧客とやり取りするためのチャネル全てを統合的に管理することができるようになります。過去に電話でお問合せいただいた顧客の要件を踏まえてチャットで回答するなど、異なるチャネル間の対応情報をすぐに確認できるようになると応対の質も向上し、顧客にとっての利便性の向上にもつながります。

4-3.従業員満足度の向上がはかれる

デジタル技術を取り入れることにより、オペレーターや管理者の業務負担の軽減も期待できます。たとえば、業務の自動化(RPA)を取り入れることで、単純なデータ入力、メール配信などが自動化されるため、コア業務に集中できるようになり、従業員満足度の向上にもつながります。

5.コンタクトセンターでのDX推進における成功のポイントとは

コンタクトセンターのDX推進を成功させるには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、いくつかのポイントを解説します。

5-1.顧客とのコミュニケーションチャネルをデジタル化する

コンタクトセンターのDX推進において、まず重要なのは、顧客とのコミュニケーション手段を電話だけでなく、メール、チャット、ボイスボットなど、さまざまな手段を準備しておくことです。顧客のニーズ、用途に合わせた連絡手段、チャネルの多様化に対応しておくことが企業競争力の底上げにもつながります。

5-2.業務工程をデジタル化する

コンタクトセンターのDXでは、業務工程にデジタル的な管理を取りいれることも重要です。たとえば、オペレーターの在席管理システムやCRMシステムなどを導入すると、さまざまな情報を効率的かつ確実に管理できるようになります。顧客属性や取引状況を管理し、そのデータを分析することで、さまざまな施策も検討できるようになります。

5-3.応対履歴をデジタル化する

コンタクトセンターの応対履歴を蓄積し、集めた応対履歴データを分析することにより、FAQコンテンツの追加、修正、削除など、データに基づくメンテナンスが可能になります。これにより、顧客の自己解決の促進による顧客満足度向上をはかれるだけでなく、入電量の削減効果も期待できるようになります。

また、最近は音声認識を活用して応対履歴を自動でテキスト化する取り組みも広まってきました。テキスト化された「顧客の声」はVOCとして分析され、さまざまなビジネスへの活用が進んでいます。

5-4.BPOを活用する

DXを推進する上では、デジタル技術およびそれを活かす業務の両方を熟知し、業務に最適なかたちでデジタル技術を活用する方法を検討する必要があります。しかし、コンタクトセンターの要員は、業務のプロではあっても、デジタル技術のプロではありません。その場合、「対象となる業務」と「デジタル技術」の両方を熟知したメンバーによるBPOサービスを検討することも有効な手段となります。BPOの委託先選定のポイントについては下記で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

6.コンタクトセンターのDX推進に必要な機能、ツールとは

コンタクトセンターのDXを推進するためには、いくつかの機能やツールを合わせて活用することも有効です。

6-1.情報を一元管理できる(機能)

さまざまなシステムに顧客情報が分散していると、サポートを行う際に情報を探すことが難しくなります。その結果、顧客対応の際にミスやクレームが発生し、機会損失につながる場合もあります。既に述べたように、CRMなどを用いてさまざまなチャネルで対応した情報を一元管理することで、顧客にとって最適なサポートを実現でき、従来以上に質の高い顧客体験を提供できるようになります。

6-2.AIチャットボット・AIボイスボット(ツール)

AIチャットボットとは、AI(人工知能)技術を用いて、あたかも人と対話しているかのように問合せ対応を自動的に行うことができるツールです。また、最近は音声での質問・回答を実現したAIボイスボットも広がりを見せ始めています。まだまだ、業務的な適用範囲は限られますが、これらのツールにより24時間いつでも顧客対応ができるようになり、オペレーターの負担を減らしつつ顧客の利便性も高めることができます。

6-3.その他さまざまな手法やツールなど

よくある質問をまとめたFAQ、情報を簡単に調べられるサイト内検索、形式知化できていない暗黙知のデータベース化、音声認識の活用など、日進月歩でさまざまな手法やツールが利用できるようになってきました。これらをうまく取り入れることによってコンタクトセンターのDXをさらに推進させることができます。

7.SCSKが提案するコンタクトセンターのDX推進

SCSKでは、コンタクトセンターでのDX推進についてさまざまなご提案が可能です。

7-1.次世代型コンタクトセンター

次世代型コンタクトセンターとは、デジタル技術をもとに様々なチャネル対応を効率的に行える機能を要したコンタクトセンターです。各種デジタルチャネルに対応したコンタクトセンターシステム、CRM、AIチャットボット・AIボイスボットなどを活用しながら、より魅力的かつエフォートレスな顧客体験を実現します。

7-2.統合VOC分析

SCSKでは、さまざまなコミュニケーションチャネルから収集される、お客様からの問合せ、ご要望などから、VOC分析を行うソリューション・サービスもご提供しています。コンタクトセンターで収集された音声認識テキスト、チャット、メール、また、NPSアンケートなど、各チャネルからの収集データ特性を活かした分析を行うことで、サービス・製品の改善ポイントだけでなく、新たなニーズ発見までも行うことが可能になります。

このように、複数チャネルの顧客の声を収集、分析することを「統合VOC分析」と呼んでいます。最近は、お客様のお問合せを瞬時にリアルタイムで分析を行う事例も増えてきています。VOC・音声認識・データ活用については以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

7-3.バックオフィス業務での活用

AI-OCRとBPOの掛け合わせによる入力作業の効率化など、通常業務のプロセス設計や運用改善に加えて、法改正への対応やBCP対策など、デジタル技術とBPOを掛け合わせ、時代の要請に合わせたタイムリーなご提案も行っています。

7-4.セールスマーケティングでの活用

營業戦略の策定支援、更に、デジタルマーケティングやインサイドセールスの導入・設計・運用などをサポートするサービスも提供しています。たとえば、「見込み顧客数がなかなか増えない」「新しいリードを獲得できない」といった課題に対しては、パッケージ化した解決施策をご提案しています。戦略的なデジタルマーケティングについての詳細についてご紹介しております。ぜひあわせてご覧ください。

8.まとめ

コンタクトセンターでDXを推進することによって、業務を効率化し、顧客と従業員の両方の満足度向上をはかることが可能になります。

SCSKが提供するaltcircle(オルトサークル)では、コンタクトセンターのDXを推進するための、さまざまなサービス、ソリューションを提供しています。経験豊富なチームが伴走し、企業の目標を達成するためにサポートいたします。コンタクトセンターのDXを推進する際は、ぜひご相談ください。