ファネル分析とは?
ファネルの種類やECサイトでの活用例を解説!
ファネル分析は消費者の行動プロセスを主に漏斗型の図で表し、サービスに触れてからコンバージョンにいたるまでの各フェーズのボトルネックを探す分析手法です。各フェーズで離脱した見込み顧客の数を把握すれば、顧客がどのタイミングで離脱したのか、その理由は何なのかを分析可能になります。
この記事では、小売店の販売責任者やECサイトの運営責任者の方に向けて、ファネル分析の概要やマーケティングファネルの種類、ファネル分析の活用例を解説します。ぜひお役立てください。
1.ファネル分析とは
ファネル分析とは、消費者の行動プロセスを図式化して、課題の発見・改善につなげる分析手法です。
ファネルは「漏斗」を意味する言葉です。ファネル分析では漏斗型の「マーケティングファネル」という図を用いて、消費者と商品・サービスとの関わり方を表します。一般的にファネルの最上層に置かれるのは消費行動のスタート地点であり、最下層に置かれるのはコンバージョン(目標達成)に至る行動です。
たとえば、商品の認知段階から購買に至るまでのファネル分析では、認知をマーケティングファネルの最上層に、購買を最下層に置きます。ファネルの各フェーズで消費者の何割が離脱しているか、顕著な離脱ポイントはどこかを把握することで、課題を分析できる仕組みです。
1-1.ファネル分析が重要な理由
ファネル分析の重要性は、消費者の行動をマーケティングファネルというモデルで整理し、行動の各段階を分析することで課題を明確にすることができる点にあります。
企業が売上を高めるには、購買につながる顧客が離脱してしまうのをできる限り防がなければなりません。顧客が離脱する理由は行動プロセスの段階によって異なるため、顧客の購買行動や心理の変化を理解し、離脱につながる課題に対して適切な改善策を打ち出す必要があります。
ファネル分析は、消費者の購買行動の変化をマーケティングファネルによって可視化できる点が特徴です。
マーケティングファネルの各フェーズにおける消費者数の変化を調べることで、どのフェーズに課題があるかが分かります。プロセスに潜む課題を分析し、適切な改善策を打ち出せれば、購買に至る消費者数が増加して売上向上を実現できるでしょう。
1-2.ファネル分析はもう古い?
ファネル分析は「古い」「今の時代に合わない」と言われることがあります。
ファネル分析が古いと言われる理由は、近年では消費者の価値観や購入チャネルが大きく変化し、消費者行動が多様化しているためです。
たとえば、近年の消費者は購入を決定する際に、インターネット上の口コミやSNSでの情報を参考にするケースが増えています。商品の購入チャネルは実店舗だけではなく、ECサイト・SNS・アプリなどのデジタル接点が定着したため、企業はさまざまな顧客接点に対応する必要が生じるようになりました。
消費者行動の多様化は、行動プロセスの複雑化につながります。結果として、シンプルなマーケティングファネルを用いるファネル分析は古い、と言われるようになったと考えられます。
ただし、新しい購買行動に対応したマーケティングファネルも作られており、ファネル分析が完全に古くなったわけではありません。
2.マーケティングファネルの種類
マーケティングファネルには、大きく分けて「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」があるとされてきました。
しかし、現在の購買行動に合った「ルーピングファネル」も登場しており、新しいファネルとして注目されています。
以下では、4種類あるマーケティングファネルについて解説します。
2-1.パーチェスファネル
パーチェスファネルは、消費者の商品購入に至る行動プロセスを表したマーケティングファネルです。アメリカのサミュエル・ローランド・ホールによって提唱されたAIDMAモデルを視覚化したものであり、基本的なマーケティングファネルであると言えます。
パーチェスファネルでは、消費者の認知から購買までの行動プロセスを下記の4つに分解します。
パーチェスファネルは一般的に、上から「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購買」の順に並んだ逆三角形の図形で表されます。消費者の「購買」がゴールであり、購買率の向上を目的としたマーケティング施策の改善などに適したマーケティングファネルです。
2-2.インフルエンスファネル
インフルエンスファネルは、購買後の消費者行動に着目したマーケティングファネルです。消費者の購買継続から、紹介や情報発信などによって潜在顧客に認知が広がるまでの様子を、三角形の図形で表しています。
インフルエンスファネルでは、見込み顧客が増える行動プロセスを下記の3つに分解しています。
近年は消費者による情報発信が盛んに行われていて、企業の集客活動や広告戦略にも大きな影響を与えるようになっています。インフルエンスファネルの活用により、購買後の消費者行動に潜む改善点の発見が可能です。
顧客のロイヤルティを高めて口コミや情報発信といった行動を促進し、中長期的に売上を伸ばすマーケティング手法として、ファンマーケティングやUGCが注目されています。ファンマーケティング、UGCについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
2-3.ダブルファネル
ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたマーケティングファネルです。
ダブルファネルを使う際はパーチェスファネルを上、インフルエンスファネルを下に置き、「購買」と「継続」を突き合わせた砂時計の形で表します。
ダブルファネルは消費者の商品認知から購買、情報の発信・拡散をするまでの行動プロセスを把握可能です。消費者行動全体を通してマーケティング施策の改善を進めたいときに役立ちます。
2-4.ルーピングファネル
ルーピングファネルは、消費者がたどる購買心理の変化を「ループ」として捉える、新しいタイプのマーケティングファネルです。
たとえば、消費者が商品の比較・検討をしたものの、すぐには購買に至らないケースがあります。
しかし、購買に至らないと言っても、消費者が離脱したとは限りません。後日に何らかのきっかけで商品を思い出して、再び比較・検討に入る可能性があります。きっかけで得た商品のイメージが強ければ、そのまま購買に至る可能性もあるでしょう。
また、商品を購買した消費者がリピーターになる過程も、ループとして捉えることが可能です。すぐにはリピーターにならない購入者も、企業が適切なサポートを提供する方法でリピーター化を加速できる可能性があります。
以上のように、消費者行動で発生し得るループを図式化したものがルーピングファネルです。ルーピングファネルは消費者行動の主要な変化を大きな輪で描き、発生するループを小さな輪で描いて作成します。
3.ECサイトにおけるファネル分析の活用例
ファネル分析を活用する際は、まずマーケティングファネルの各フェーズに消費者行動を当てはめます。
次に、各フェーズに進んだ消費者の人数を集計して、ファネルに書き込みましょう。
たとえば、ECサイトをパーチェスファネルで分析すると、下記のような図式になります。
消費者の人数からフェーズごとの離脱した人数を調べると、最も離脱が大きいのは「興味・関心」から「比較・検討」に移ったときの40人です。「商品情報を確認したものの、購入意欲が湧かなかった」消費者が多いことが分かります。
また、「比較・検討」から「購買」に移ったときの離脱人数は20人であるものの、離脱率は6割を超えている状態です。「商品をカートに入れても、購入手続き完了までに至らない」消費者が多く、決済の手順やスムーズさに問題を抱えている可能性があります。
売上構造分析やRFMセグメントについては以下でご紹介しています。ぜひあわせてご視聴ください。
4.まとめ
消費行動の多様化した現代社会において、ファネル分析は古いと言われるものの、複雑化した購買心理の変化に対応した新しいマーケティングファネルも生まれています。既存の3種類のマーケティングファネル(パーチェスファネル・インフルエンスファネル・ダブルファネル)とは異なった形のルーピングファネルはその一例と言えます。
適切なファネル分析には、消費行動の理解が欠かせません。
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