KGIとは?
KPIとの関係性や設定するメリット・設定方法を解説!

KGIとは

KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)は、企業や組織が目指すべき最終的な目標を定量的に示す指標です。企業が現状を把握し、目標に向けて何をするべきか戦略を立てるために、中間目標を示す指標「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」と併用されます。

この記事では、ECサイトの運営者や小売店の販売責任者に向けて、KGIとKPIの違いや関係性、設定するメリットと方法について解説します。ぜひお役立てください。

1.KGIとは

KGIは、「Key Goal Indicator(キーゴールインジケーター)」の略称です。日本語では「重要目標達成指標」と訳され、企業や組織がビジネスを展開する上での最終目標を定量的に評価するための指標を指します。具体的には、「売上高」「成約数」「利益率」「業界シェア」などがKGIに該当します。

1-1.KGIとKPIの違い

ビジネス指標を語る上で、KGIと並んでよく耳にするのがKPIです。KPIは「Key Performance Indicator(キーパフォーマンスインジケーター)」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。

KGIとKPIの違いは、KGIが最終目標を指すのに対し、KPIは中間目標を表すという点です。言い換えれば、KGIという大きな目標を達成するために必要な、より小さく具体的な目標がKPIだと考えるとよいでしょう。

たとえば、ある企業のKGIが「年間売上高100億円達成」だとすると、KPIには「新規顧客獲得数」「既存顧客の平均購入額」「商品ラインナップの拡大」などが挙げられます。

KGIとKPIの適切な設定や管理によって、企業は目標達成に向けて効果的に進むことが可能です。

1-2.KGIとKSF・OKRの違い

KGIに関連する重要な概念として、KPIのほかにKSFとOKRがあります。KGIとKSF・OKRの違いは以下の通りです。

KSF

KSFは「Key Success Factor(キーサクセスファクター)」の略称で、日本語では「重要成功要因」と訳されます。

事業成功のための必要条件を意味し、KGIやKPIが定量的な数値で設定されるのに対し、KSFは定性的な要素、つまり目標達成に向けて何をすべきかを設定するものです。

具体的には、「規模」「技術力」「顧客対応」「ブランド力」「サービスの質」などが挙げられます。

OKR

OKRは「Objectives and Key Result(オブジェクティブキーリザルト)」の略で、「目標と主要な結果」を意味します。

OKRはKGIやKPIとは異なり、主に人事評価上の目標設定や目標管理のために使われます。具体的には、チームやメンバーが達成すべき目標を設定し、達成度に応じて人事評価を決定するという手法です。

多くの組織では、全体のパフォーマンスを最大化するために、チームやメンバーが最大限に尽力して目指すべき高いラインの目標をOKRとして設定しています。

KGIとKSF・OKRの違いを理解することで、より効果的な経営戦略の立案が可能になります。

1-3.KGI達成に重要なKPIツリーとは

KPIツリーは、最終的な目標であるKGIを達成するために必要なKPIをロジックツリー(樹形図)形式で可視化したものです。

事業戦略を組み立てる際には、目標の大きさに関わらずKPIツリーを作成することが大切です。

KPIツリーがない状態では、成功の要因や失敗の原因、改善点が明確になりません。一方、KPIツリーを活用して下位の具体的なKPIから考察すれば、実行した施策がKGIに与えた効果を検証できます。

KPIツリーによって各KPI間の関連性が明確になるため、KGI達成までのプロセスがスムーズになります。また、チーム全体で目標と戦略の共通理解を深め、事業や組織全体の成長を加速できるでしょう。

2.KGI・KPIを設定するメリット

KGIやKPIは客観的な目標であり、企業が成長するのに必要な指標です。企業がKGIやKPIを設定するのは、多くのメリットがあるためです。ここでは、KGI・KPIの設定によって得られるメリットを4つ紹介します。

2-1.事業の目標を明確にできる

KGIを設定することで、会社がどのような目標を目指しているのかが明確になります。営業部門や製造部門などの異なる部署であっても連携が強化され、組織全体が一丸となって取り組む空気が生まれます。

また、KGIに合わせて部門ごとに適切なKPIを設定し、さらに個人レベルまで落とし込めば、社員一人ひとりが自分の仕事とKGI達成の関連性を認識することが可能です。このような認識は社員のモチベーション向上につながり、組織全体の生産性が高まります。KPI達成を実現するマーケティング事例については以下をご覧ください。

EC売上を拡大する「鉄板KPI」大公開!~そのKPI達成を実現するマーケティング事例~

2-2.取り組むべき仕事の順序をつけやすくなる

KGIやKPIが設定されていない環境では、事業の方向性や日常業務の優先順位を決めるのが困難です。明確な目標がないまま、やみくもにさまざまなタスクに取り組むのは非効率的であり、各業務の優先度が不明確なまま貴重な時間とエネルギーの浪費につながりかねません。

一方、KGIとKPIを適切に設定することで、組織や個人が達成すべき目標が明確になり、KGI・KPI達成に向けて、まず何に取り組むべきかが分かりやすくなります。次にやることや、割り振るべきリソースについても客観的に判断できるため、指示待ちをせず各社員が主体的に仕事に取り組む組織を作れます。結果として組織の意思決定速度も上がり、効率的で生産性の高い業務が可能になるでしょう。

KGIとKPIの設定は単なる目標設定にとどまらず、組織全体の効率性・生産性向上に重要な役割を果たします。

2-3.客観的に進捗を把握できる

KGIは具体的な数値目標として設定されるため、目標達成度合いや進捗状況を客観的に評価できます。個人の主観や解釈に左右されず、組織全体で統一された認識を持つことが可能です。

たとえば、「年間売上高100億円」というKGIを設定した場合、現在の売上高が80億円であれば達成率は80%と明確に把握できます。数値化によって目標までの距離が具体的に見えるため、必要な対策を講じやすくなります。

また、中間目標の達成状況も可視化することで、早い段階で目標に向けた道のりがどの程度順調なのかが一目で分かる点もメリットです。達成度合いがよくない場合は戦略を練り直すことで、KGI達成につながりやすくなるでしょう。

2-4.ステークホルダーと関係を構築する材料になる

KGIの設定は、自社の成長度合いや目標の高さをステークホルダーに向けて効果的に宣伝する手段となります。

ステークホルダーとは、企業に利益や損失をもたらすあらゆる関係者を指し、株主、経営者、従業員、顧客、取引先、金融機関、行政機関などが含まれます。特に、株主や従業員、取引先など、会社に利益をもたらす存在にとって、KGIは重要な指標です。

具体的な数値目標であるKGIは、社外からの理解を得やすく、客観的な評価基準となります。そのため、投資判断や取引決定の際の重要な材料としても活用できるでしょう。

3.【ECサイト向け】KGI・KPIの設定方法

小売店やECサイトのKGIは、基本的に売上です。ECサイトの売上をKGIに設定した場合、KPIとなるのは以下の3つの項目です。

アクセス数

自社サイトへの訪問者数を指します。PV数、セッション数、ユーザー数など、さまざまな指標が含まれます。

商品購入率

サイト訪問者のうち、実際に購入に至った割合を表します。注文件数をアクセス数で割って算出されます。コンバージョン率(CVR)とも呼ばれています。

平均客単価

顧客1人が1回の取引で支払う平均金額です。合計売上を注文件数で割ることで求められます。

ECサイトの売上は、これら3つの要素の掛け算で構成されています。売上を増加させるには、各要素を複合的に改善することが重要です。

それぞれの項目に対して効果的な戦略を立てて実行することで、総合的な売上アップが期待できるでしょう。

3-1.KGIに基づいてKPIを設定する手順

小売店やECサイトで、KGIに基づいてKPIを設定する手順は下記の通りです。

STEP1.ECサイトの分析を通じて現状を把握し、改善点を洗い出す

まず、ECサイトの現状を詳細に分析し、課題を特定します。

アクセス数、商品購入率、平均客単価の前年比または前月比を確認しましょう。3つの項目の変動を把握した上で、その期間に実施した施策を列挙します。

どの施策が各指標に影響を与えたのかを明確にすることで、より正確な状況把握が可能です。

STEP2.分析結果をもとに仮説を設定する

ECサイトの分析結果に基づいて、課題の原因に関する仮説を立てていきます。

たとえば、アクセス数は多いものの直帰率が高い場合は、サイト内の導線設計に問題があるか、表示速度が遅いことなどが考えられるでしょう。

また、商品購入率が低い場合は、購入までの導線設計が適切でなく、途中離脱やカゴ落ちが多発している可能性があります。あるいは、ECサイトで期待されている商品が取り扱われていないことも原因の1つに挙げられます。

STEP3.仮説に基づいて適切なKPIを設定する

分析結果から導き出された仮説に基づき、適切なKPIを考えます。

たとえば、「売上低迷の原因はアクセス数の減少にある。したがって、アクセス数を40%増加させる」というKPIを設定します。また、「アクセス数増加達成のために、SNSを活用した情報発信による集客施策を展開する」といった具体的な行動計画を提示しましょう。

上記の手順を実行すれば、効果的なKPIの設定と、それに基づく戦略的な施策の立案が可能です。

また、KPIを設定する際には、ファネル分析やRFM分析などを用いて、データに基づく妥当な目標を設定するようにしましょう。ファネル分析やRFM分析について以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

4.KGI・KPI設定に重要なSMARTモデル

KGIやKPIを設定するときには、SMARTモデルというフレームワークを使うとよいでしょう。SMARTモデルとは目標設定の指標であり、理解し運用することで企業や組織の目標を効果的に達成できます。

ここでは、SMARTモデルの5つの要素について解説します。

4-1.Specific(具体性)

SMARTモデルの「S」は「Specific」の頭文字で、「具体的」「明確」という意味があります。

具体性・明確性は、KGI設定において基本的な要素です。目標設定では、「誰が見ても同じ解釈ができる具体的な目標」を設定することが重要です。

たとえば、「多くの顧客に自社サイトを知ってもらう」というあいまいな目標ではなく、「アクセス数を40%増加させる」などの具体的な目標を設定します。

あいまいな言葉や表現を避け、数字や定量的な指標を用いて達成すべき目標をより具体的に設定することが大切です。

4-2.Measurable(計測可能性)

SMARTモデルの「M」は「Measurable」の頭文字で、「計測可能な」「測定可能な」という意味があります。

KGIやKPIは、定量的に測定できるものでなければなりません。定量的な測定結果の評価・分析を行うことで、目標達成に対して効果的なアクションを取れます。

評価基準を明確にするためにも、数値などを用いて達成度を算出できる目標にすることが大切です。計測しやすい目標設定を意識することで、進捗状況を正確に把握できます。

4-3.Achievable(達成可能性)

SMARTモデルの「A」は「Achievable」の頭文字で、「達成可能な」という意味です。

達成のイメージが湧かない高すぎる目標は、達成不可能であると気づいた途端にモチベーションやパフォーマンスが低下するリスクがあります。反対に、難易度を大きく下げた簡単な目標設定も、自分の成長イメージにつながらず、モチベーションの低下を招きます。

現実的にチャレンジ可能な企業目標を設定することで、関係者全員が目標に対して合意し、アクションを実行する意欲が高まるでしょう。

4-4.Relevant(関連性)

SMARTモデルの「R」は「Relevant」の頭文字で、「関連性」という意味を持ちます。

設定する目標は、企業の最終目的や戦略に関連があるものでなければなりません。しかし、KPIを考える際に、最終目的達成に直接貢献しない施策や関連の薄い目標を掲げてしまう場合もあります。そのため、目標がずれたKPIを設定していないか確認することが重要です。

関連性のある目標を設定すれば、組織全体の一貫性を保ち、効率的な目標達成が可能となります。

4-5.Time-bound(期限設定)

SMARTモデルの「T」は「Time-bound」の頭文字で、「期限を定めた」という意味があります。

目標には必ず期限を設定することが必要です。KGIやKPIの期限がないと目標達成が先延ばしになり、達成が困難になる可能性が高まります。

期限を設定して計画を立てれば、作業への集中力がアップし、業務のスピードを高めることが可能です。具体的な期限を設ければ進捗管理が容易になり、目標達成に向けた明確な道筋が見えてくるでしょう。

5.KGI・KPIの具体的な設定例

ECサイトの運営において、KGIやKPIの設定は非常に重要です。KGI・KPIの指標を適切に設定することで、最終目標達成に向けた具体的な行動計画が立てやすくなります。

ここでは、ECサイトのKGIとKPIの具体的な設定例を紹介します。

ECサイトのKGI・KPI設定例

KGI
年間売上高を1,500万円にする
KGI
年間売上高を1,500万円にする
KPI 行動目標
購入率のKPI
月間購入率を2.5%にする
カゴ落ち率を25%以下に抑える
カートに商品を入れた顧客が購入を完了する割合を高めるために、ユーザーフレンドリーなチェックアウトプロセスを導入し、送料や手数料を明確に表示する。

各製品のレビュー数を50件以上にする
顧客の製品に対する信頼感を持ちやすくして、購入率を上げるために、顧客にレビューを残してもらうインセンティブを提供してレビュー数を増やす。
アクセス数のKPI
月間訪問者数を1万人にする
月間新規訪問者数を6,000人にする
SEO対策や広告キャンペーンを強化し、新規ユーザーの流入を増やす。

月間リピート訪問者数を4,000人にする
メールマーケティングやSNSを活用し、既存顧客のリピート訪問を促進する。
客単価のKPI
平均注文額を5,000円にする
アップセル成功率を10%にする
商品ページやチェックアウトページで関連商品や上位モデルを提案し、顧客がより高価な商品を購入するよう促す。

クロスセル成功率を15%にする
購入時に関連商品を提案することで、顧客が追加で商品を購入するよう促進する。
KPI 行動目標
購入率のKPI
月間購入率を2.5%にする
カゴ落ち率を25%以下に抑える
カートに商品を入れた顧客が購入を完了する割合を高めるために、ユーザーフレンドリーなチェックアウトプロセスを導入し、送料や手数料を明確に表示する。

各製品のレビュー数を50件以上にする
顧客の製品に対する信頼感を持ちやすくして、購入率を上げるために、顧客にレビューを残してもらうインセンティブを提供してレビュー数を増やす。
アクセス数のKPI
月間訪問者数を1万人にする
月間新規訪問者数を6,000人にする
SEO対策や広告キャンペーンを強化し、新規ユーザーの流入を増やす。

月間リピート訪問者数を4,000人にする
メールマーケティングやSNSを活用し、既存顧客のリピート訪問を促進する。
客単価のKPI
平均注文額を5,000円にする
アップセル成功率を10%にする
商品ページやチェックアウトページで関連商品や上位モデルを提案し、顧客がより高価な商品を購入するよう促す。

クロスセル成功率を15%にする
購入時に関連商品を提案することで、顧客が追加で商品を購入するよう促進する。

上記のようにKPIを設定することで、KGIを達成するための具体的な行動目標を明確にできます。

また、長期的な売上の最大化には、LTVと顧客ロイヤルティも重要です。LTVとは1人の顧客が企業と取引を続ける期間において、企業にもたらす総利益を指し、LTVを高めることは企業の長期的な収益性向上に直結します。

顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドや企業に対して感じる愛着のことです。ロイヤルティの高い顧客は、繰り返し購入を行い、ほかのブランドに乗り換える可能性が低くなります。

LTVと顧客ロイヤルティを高めるのに重要なのが、CX(カスタマーエクスペリエンス)です。LTVと顧客ロイヤルティ、CXについて以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

6.まとめ

KGIとKPIは、企業が目標達成に向けて戦略を立てるのに必要な指標です。定量的に自社の中間目標・最終目標を表せるため、組織全体の方向性が明確になり、優先順位をつけた効率的な業務が可能になります。また、進捗状況を客観的に見て、課題や改善点をスピーディーに把握できる点もメリットです。特にECサイトにおいては、売上というKGIと、アクセス数、商品購入率、平均客単価などのKPIを設定するのが一般的です。

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