MR活動のDX推進方法とは?
MR活動の変化や課題の解決策を解説!

製薬分野におけるRWDとは

「対面訪問だけでは、医師に必要な情報を届けきれない」と感じる製薬企業の営業現場が増えています。コロナ禍を経た面会機会の減少や接待規制の強化により、MR(医薬情報担当者)を取り巻く環境はここ数年で大きく変わりました。限られた人数で成果を出すには、デジタルを活用して業務そのものを見直すDX(デジタルトランスフォーメーション)が欠かせません。

MR活動におけるDXとは、CRMや生成AI、リモートMR、ポータルサイトなどのデジタル技術を活用し、医師への情報提供や営業活動を効率化・高度化する取り組みです。

この記事では、自社のMR活動を高度化したい方に向けて、MR活動がどのように変化しているかを整理した上で、効率化・最適化に役立つデジタル活用の手法、DXを進める際につまずきやすい課題、目的設定から現場定着までのステップを解説します。ぜひお役立てください。

1.MR活動はどのように変化している?

コロナ禍を経た面会機会の減少や生成AIの進化などを背景に、MR活動は大きく変わりつつあります。従来の対面訪問を軸にした情報提供だけでは、医師が求める情報を必要なタイミングで届けにくくなってきました。まずは、MR活動がいまどのように変わってきているのかを、5つの観点から整理します。

1-1.MRの数は減少傾向が鈍化している

MRの数は長年減少が続いてきましたが、直近ではそのペースが緩やかになっています。ミクスOnlineの「MR数アンケート調査2026」でMR数を開示した46社の合計は19,316人で、2025年調査から480人減少しました。減少率は2.4%で、2024年調査の6.7%、2025年調査の6.0%と比べて縮小しています。

数そのものの減少と同時に、限られた人数でどう成果を出すかにも関心が集まっています。

1-2.訪問規制・接待規制の強化で対面の機会が減った

医師と直接会って情報を届ける機会は、以前より減少しています。コロナ禍をきっかけに多くの医療機関で院内への立ち入りが制限され、アポイントの取りづらさが定着しました。感染状況が落ち着いた後も、面会の予約制やオンライン対応を続ける施設は少なくありません。

さらに、製薬業界では情報提供活動の適正化に向けたルール整備が進み、接待や過度なプロモーションへの自主規制も強まりました。MRが医師と接点を持つハードルは、環境とルールの両面から高くなっています。かつてのように訪問回数を積み重ねるだけの営業スタイルは近年通用しにくくなってきました。

1-3.対面営業からオンライン・オムニチャネルへ移行している

対面が難しくなった分、情報提供の手段は多様になりました。Web面談やメール、オンラインセミナー、専用ポータルサイトなど、複数のチャネルを組み合わせて医師と接点を持つ動きが広がっています。

大切なのは、単に対面をオンラインへ置き換えることではありません。医師一人ひとりの状況や好みに合わせて、対面・リモート・デジタルを使い分けるオムニチャネルの発想です。「医師がほしい情報をほしいチャネルで届ける」という考え方が、これからのMR活動には欠かせなくなっています。

1-4.主力製品のスペシャリティ化で求められる専門性が高まっている

製薬企業の主力製品は、生活習慣病など幅広い患者向けの薬から、がんや希少疾患、バイオ医薬品といった専門領域の薬へと移りつつあります。こうしたスペシャリティ医薬品は、対象となる患者や処方する医師が限られる一方で、扱いには高度で最新の知識が欠かせません。

そのためMRには、製品知識だけでなく、疾患の背景や治療全体の流れ、関連するデータまで理解した上で医師と対話する力が求められるようになりました。一律の製品情報を広く伝える役割から、医療現場の課題やニーズを理解し、治療課題の解決に資する専門的な情報を提供する役割へと、MRに求められる価値が変化しています。

1-5.生成AI活用などMRに求められるスキルが変わりつつある

デジタルの活用が広がる中で、MRに求められるスキルの幅も広がっています。訪問記録や資料作成といった事務作業を生成AIで効率化したり、蓄積されたデータを基に医師のニーズを読み解いたりと、デジタルツールを使いこなす力が欠かせなくなってきました。

一方で、対面やオンラインで医師と信頼関係を築くコミュニケーション力の重要性は、変わらず高いままです。これからのMRには、デジタルを味方につけながら、人にしかできない対話を磨く両輪の姿勢が求められるでしょう。MR活動の変化に向き合うためにも、DXやデジタル活用の取り組みが必要です。

2.MR活動の効率化・最適化のために必要なDX・デジタル活用とは

MR活動の効率化・最適化を進める上で、いまやDXやデジタル活用は欠かせない存在になっています。人手や訪問機会が限られる中で医師へ必要な情報を届けるには、デジタルの力で業務そのものを見直す発想が求められます。

ここでは、MR活動の効率化・最適化に役立つDX・デジタルMRの手法を解説します。

2-1.訪問記録や事務作業の自動化

MR活動の中でも、訪問記録の入力や資料作成、情報収集といった事務作業は、意外と多くの時間を占めています。事務作業はデジタル活用によって効率化しやすい部分です。

たとえば面談内容を録音して自動で文字起こしすれば、報告書づくりの手間を大きく減らせます。資料作成や情報収集の下調べを生成AIにサポートさせれば、MRが医師と向き合う時間を増やせるのも大きな魅力です。

さらに、製薬業界に特化したCRM(顧客関係管理)システムを使えば、訪問履歴や医師の反応といった情報を効率的に蓄積できます。バラバラになりがちな記録を一元管理することで、次の打ち手を考える土台が整うでしょう。事務作業の自動化で生まれた時間は、本来注力すべき情報提供を行うための時間へと振り向けられます。

2-2.訪問が難しい医師へのリモートMRツールによる情報提供

直接の訪問が難しい医師に情報を届けたいとき、頼りになるのがリモートMRの仕組みです。メールやWeb面談、チャットなどを通じて情報を届けられるリモートMRツールを使えば、対面の予定が取りにくい相手や遠隔地の医師にも、必要な情報を届けやすくなります。

リモートMRは、対面での情報提供を補完し、接点を広げる手段です。医師が希望する時間にWeb面談を設定したり、必要な情報をオンラインで確認できる環境を整えたりすれば、医師の負担を抑えながら情報提供を続けられます。

訪問という1つの手段に縛られず、複数のチャネルで関係を保てる点が、リモートMRの強みです。

2-3.医師の行動や関心データに基づいた営業活動の最適化

MR活動の最適化を一段進めるのが、データに基づく営業活動です。訪問時のやり取りや、医師が資料のどこを見たかといった閲覧履歴、そのほかの行動データを集めれば、医師が関心を持つテーマが見えてきます。もちろん適切な同意を得る必要はあるものの、これらのデータをAIで分析できれば、一人ひとりの医師のニーズに合わせて届ける情報やタイミングを最適化できます。

さらに効果を高めるのが、データどうしの紐づけです。CRMに蓄積した訪問データと、ポータルサイトなどWeb上で得られるアクセスログを組み合わせて分析すれば、医師の関心をより立体的につかめます。勘や経験だけに頼らず、データを手がかりにMR活動を行うことで、医師への情報提供の質を高め、セールス&マーケティング施策の高度化につながります。

2-4.MR間での情報共有による質の底上げ

個々のMRが持つ知見をチーム全体で共有する取り組みも、MR活動の質を底上げする上で欠かせません。うまくいった提案の進め方や、医師からよく受ける質問への答え方は、担当者一人の経験にとどめておくにはもったいない財産です。これらをデジタル上で共有できれば、経験の浅いMRも早くから成果を出せるようになります。

情報共有が進むと、対応の属人化が減り、MR活動の標準化にもつながります。誰が担当しても一定の水準で情報を届けられる体制は、医師からの信頼にも結びつきます。個人の頑張りに任せきりにせず、チームの力で質を引き上げる仕組みづくりが、これからのMR組織には求められます。

2-5.医師が情報を得られるようなデジタル上の接点の構築

MRが直接届ける情報だけでなく、医師が自分から情報を取りにこられる場を用意することも大切です。医療関係者向けのWebサイトを開設し、製品情報や疾患の解説、オンラインセミナーの録画などを見られる形にしておけば、医師は必要なときに必要な情報へアクセスできます。MRの訪問を待たずに情報を得られる接点は、忙しい医師にとって心強い味方です。

こうしたデジタル上の接点は、一度整えれば時間帯を問わずはたらき続け、MR活動を後押ししてくれます。製品サイトや医療従事者向けのポータルサイトは、その代表的な受け皿です。自社だけで一から構築するのが難しい場合は、専門のサービスを活用するのもおすすめです。altcircleでは、医療従事者向けサイト向けの汎用テンプレート「pharma.websas.jp」を提供しています。スピード感を持ってサイトの立ち上げを目指したい方は、ぜひご利用ください。

altcircleが提供する医療従事者向けポータルサイト構築サービスについては以下で紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

3.MR活動のDX・デジタル化を進めるときによくある課題

MR活動へDXやデジタル化を取り入れる動きは広がっていますが、いざ進めようとすると、壁にぶつかってしまうこともあるでしょう。ここでは、多くの企業がつまずきやすい代表的な4つの課題について解説します。

3-1.MR側のスキル転換が難しい

DXを進める上でまず直面するのが、MR自身のスキル転換の難しさです。長く対面営業で成果を上げてきたMRほど、デジタルツールやデータを使う働き方への切り替えに戸惑いやすい傾向があります。Web面談の進め方やデータの読み解き方は、これまでの営業スキルとは異なる知識を必要とします。

新しいやり方への抵抗感が生まれるケースもあるので、現場任せにすると定着が進みません。研修やサポート体制を整え、少しずつ成功体験を積んでもらう工夫を行いましょう。

3-2.顧客接点やリードの獲得難易度が高くなる

次に課題となるのが、医師との新しい接点やリードをどう増やすかです。訪問規制が続く中で、これまでのように足を運んで関係をつくる手法だけでは、新規の接点を広げにくくなっています。かといって、デジタル上で医師の関心を引き、問い合わせや資料請求につなげるノウハウは、一朝一夕には身につきません。

誰に何をどのタイミングで届けるかの設計が甘いと、せっかくのデジタル施策も空振りに終わってしまいます。接点づくりの発想を、対面中心からデジタル起点へと切り替えることが不可欠です。

3-3.社内のデータを統合する難易度が高い

デジタル活用が進むほど、社内に蓄積されるデータは増えていきます。しかし、各データは部門ごとにバラバラで管理されていることが多く、統合が難しい点が課題です。

データのサイロ化が起きると、営業する相手を立体的に捉えにくくなります。分析や活用の前に、まず社内のデータを1つにつなぐ土台づくりが欠かせません。

3-4.獲得したデータを分析できる人材が不足している

最後に立ちはだかるのが、データを扱える人材の不足です。ツールでデータを集められても、そこから意味を引き出して営業活動に生かせる人がいなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。IPAの「DX動向2025」では、日本企業の26.6%がDX推進人材について「やや不足している」、58.5%が「大幅に不足している」と回答しており、不足していると答えた企業の合計は85.1%です。

データサイエンティストのような専門人材はもちろん、経営と現場、デジタルの橋渡し役となる人材も足りていないのが実情です。すべてを自社でまかなうのが難しい場合は、外部の専門家やパートナーの力を借りる選択肢もあります。人材の確保と育成を、DXの計画に最初から組み込んでおく視点が必要です。

4.MR活動を進化させるためのDXの進め方

さまざまな課題を解決するために、DXは思いつきで始めるのではなく、順を追って進めましょう。MR活動を進化させる上で押さえておきたいのが、次の4つのステップです。目的の明確化から現場への定着まで、流れに沿って解説します。

4-1.DXの目的を明確にする

最初に取り組むべきは、「何のためにDXを進めるのか」という目的をはっきりさせることです。目的があいまいなままツールから入ると、導入すること自体がゴールになってしまいます。まずは自社のMR活動でどこに課題があるかを見きわめ、DXで目指す姿を言葉にしておきましょう。

訪問効率を上げたいのか、医師との接点を増やしたいのか、データを活用した営業に変えたいのかといった目的を定めておけば、後から手段を選ぶときの判断軸になります。関係する部署とゴールを共有しておくことも、後の進めやすさにつながります。

4-2.改善する業務を洗い出して導入ツールを選ぶ

目的が決まったら、次は改善したい業務を具体的に洗い出します。訪問記録の入力に時間がかかっている、医師への情報提供が滞りがち、といった困りごとを書き出すと、手をつけるべき場所が見えてきます。

その上で、洗い出した課題に合うツールを選びます。多機能さや話題性で選ぶのではなく、自社の課題を解けるかどうかを基準にしましょう。たとえば事務作業の負担が重いならCRMや文字起こしツール、接点不足ならポータルサイトといった具合に、課題とツールを結びつけて考えると失敗を防げます。

4-3.スモールスタートで検証を始める

DXを進めるときは、いきなり全社へ展開するのではなく、小さく始めて試すスモールスタートがおすすめです。一部のチームや対象を絞ってツールを導入し、実際の使い勝手や効果を確かめます。小さく試せば、うまくいかなかったときの修正もしやすく、現場の負担も抑えられます。

大切なのは、検証の段階で効果を測る指標を決めておくことです。訪問件数や情報提供の反応など、見るべき数字をあらかじめ定めておけば、続けるか見直すかを客観的に判断できます。小さな成功をつくってから広げる流れが、DX定着への近道です。

4-4.現場が使える形で定着させる

最後のステップは、導入したDXを現場が無理なく使える形にして根づかせることです。

優れたツールでも、MRが日々の業務で使いこなせなければ意味がありません。マニュアルの整備や相談できる窓口づくり、使い方の研修などで、現場を支える仕組みを用意しましょう。

あわせて、現場の声を聞きながら運用を少しずつ改善していく姿勢も欠かせません。使いにくい点を直し、成功事例を共有すれば、ツールは自然と根づいていきます。

5.まとめ

MR活動のDXは、訪問記録の自動化やリモートMR、データに基づく営業、チーム内の情報共有、医師向けデジタル接点の構築といった複数の手法を組み合わせて進めます。

一方で、MRのスキル転換やデータ統合、分析人材の不足など、乗り越えるべき壁も少なくありません。ゆえに、目的を明確にし、課題に合うツールを選び、スモールスタートで検証しながら現場に定着させることが成功の近道です。

ただし、自社だけでDX推進のすべてを実施するのは難しいこともあるでしょう。altcircleは、製薬メーカーのMR業務支援(S&M領域)や臨床領域のベストプラクティスを40年にわたって提供してきました。医療業界に特化した知見を土台に、業界特化型のCXオファリングサービスを展開しています。MR活動のDXに課題を感じたら、ぜひ活用をご検討ください。

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