サステナブルとは?
SDGsとの関係・企業ができることを解説!

サステナブルとは

近年、社会一般で広く注目を集めている言葉に「サステナブル」というものがあります。サステナブルは、単に「環境に優しい」という意味を超えて、地球環境を守ると同時に社会・経済の持続可能な発展を目指す考え方です。地球環境問題・経済格差問題など、ボーダーレスな問題に対応するための考え方として、サステナブルという概念は重要な役割を果たしています。

ECビジネスを展開している企業の経営者の方やSDGsに関わる担当者の方に向けて、サステナブルの意味や企業ができることを解説します。ぜひお役立てください。

1.サステナブルとは

サステナブル(Sustainable)とは、「持続する(sustain)」と「できる(able)」の2つの英単語を組み合わせてできた言葉です。「持続可能な」を意味しており、日本では「サステイナブル」や「サスティナブル」と表記されることもあります。昨今耳にすることが多い「サステナブルな社会」は、地球環境を守り、社会面にも考慮しつつ、持続可能な形で経済活動を発展させていける社会のことを指します。

サステナブルという言葉は、2015年に国連サミットの場でSDGsが採択されたことで広く認知されるようになりました。しかし、サステナブルの概念自体は1970年代にはすでに生まれていたとされています。さらに、1987年に国連が発表した報告書でも、「環境・資源基盤を保全しつつ開発を進める」という意味でサステナブルの概念に言及されていました。

なお、サステナブルに関連する言葉に「エシカル」があります。「エシカル」については以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

1-1.サステナブルとSDGsの関係

サステナブルと切り離せない関係にあるのがSDGsです。SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」を意味します。

SDGsは国連に加盟している193か国が2030年までにクリアするべき目標です。世界が抱える環境面・社会面・経済面の課題を解決するべく17個の目標が設定されており、さらに目標達成に向けた指針として169のターゲットが定められています。

SDGsで設定された目標やターゲットの内容は多岐にわたります。水やエネルギーに関するものから地球環境に関わるもの、教育・経済成長といった社会の発展に関するものなどさまざまです。SDGsと言うと地球環境への配慮をイメージする方も多いかもしれませんが、誰ひとり取り残さない社会を実現するためにあらゆる方面で取り組むべき目標と言えます。

SDGsは簡単に言うと、サステナブルな社会を作るための方法論です。今後SDGsの認知度が高まれば、サステナブルな社会の実現がさらに近付くでしょう。

2.サステナブルな社会に注目が集まっている理由

サステナブルの概念が生まれたのは1970年代ですが、社会全体に広く認知され、注目され始めたのは最近になってからです。では、なぜ今サステナブルな社会に注目が集まっているのでしょうか。その主な理由を2つ紹介します。

2-1.地球環境の危機

大量生産・大量消費といった社会活動によって以下のような環境問題が発生し、地球全体や人間の生活に影響を与えています。

気候変動

産業が発展し、あらゆる活動で二酸化炭素が大量に排出されるようになったことで、地球全体で温暖化が進んでいるのが大きな問題です。各地で猛暑が続くようになり、熱中症で搬送される人が増加しているほか、農作物の収穫時期のズレや、農作物を育てるのに適した地域の変化なども起こっています。

また、地球温暖化によって気候パターンが変化し、豪雨や干ばつ、森林火災などの自然災害が各地で発生しやすくなった点も深刻な問題です。

海洋汚染

生活排水や工業廃水、人間が捨てたごみなどによって海が汚染されている点も問題視されています。特にプラスチックごみによる海洋汚染は、海に住む生物の生態系に影響を及ぼすほか、最終的に海洋生物を食べる人間の体への悪影響も懸念されています。

生物多様性の減少

生物多様性とは、地球で生きる生物の多様性や生物同士のつながりのことです。最近では乱獲や自然開発などによって絶滅する生物が増え、生態系の豊かさが損なわれていることが問題視されています。

2-2.深刻な経済格差

現在の社会では、以下のように国家間や人間同士の不平等や貧富の差が広がっている点も無視できない問題です。

世界的な格差

2008年のリーマンショック以降、世界的な所得格差は拡大し、超富裕層である上位1%の人が世界の個人資産の40%近くを占有していると言われています。中でも中国やインドは国内での所得格差が開いており、都市部と農村部での格差が特に大きい傾向です。

ジェンダー格差

ジェンダー(性別)に基づく偏見や、男女の雇用機会・賃金の格差に伴う経済的な不平等も存在しています。ジェンダーは生物学的な性別とはやや異なり、社会的・文化的な役割を指す言葉です。ジェンダー格差があることで政治・経済面での重要な意思決定の場における女性の参加率が低く、属性に偏りがある集団によって重要な決定がされるなどの問題が生じます。

人口増加による格差

世界的に公衆衛生が向上し、平均余命が伸びたことで、世界人口は約80億人に達しました。しかし人口増加は世界の最貧国に集中しているため、貧しい国でさらに食料や水、エネルギー不足が深刻化し、先進国との格差拡大につながることが懸念されています。

3.企業がサステナブルな社会を目指すためにできること

SDGsに向けた取り組みは個人でも必要ですが、社会や環境への影響が大きい企業は特に力を入れるべきだと言えます。SDGsを達成し、サステナブルな社会を目指すために企業ができることを4つ紹介するので、参考にしてください。

3-1.環境・社会貢献製品を開発・販売する

環境保護をはじめとする社会課題の解決に資する製品やサービスを開発・販売することは、サステナブルな社会を目指す上で重要な取り組みです。環境・社会貢献製品の開発・販売としては、次のようなものが挙げられます。

  • 省エネ家電を開発する
  • 排気ガスを抑えた自動車を開発する
  • 製品にリサイクル由来の原料を使用する
  • プラスチックの代替品として植物由来の素材などを使用する

現在は多くの消費者が環境や社会問題に関心を向けているため、環境負荷が高い製品は敬遠される傾向が強くなってきています。反対に、環境・社会貢献製品であれば手に取ってもらいやすく、企業にとっては売上アップにつながるというメリットもあります。

3-2.環境に配慮して事業運営を行う

地球温暖化への対策が世界的な課題となっている今、企業が環境に配慮した事業活動を実践することが重要視されています。

地球温暖化の主な原因として問題視されているのが、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスです。工業化が進んで以降、事業活動における二酸化炭素の排出量が急増し、世界中の気温の上昇につながっています。そこで、以下のような取り組みを行い、二酸化炭素の排出を抑えることで、環境負荷の低減を図る企業が増えています。

  • オフィスの照明を省エネタイプに変更する
  • 工場や事務所での水の使用量を削減する
  • 社用車を電気自動車に変える
  • 空調の設定温度を見直す

3-3.働きやすい職場環境を整備する

SDGsでは前述した環境面での目標だけではなく、「働きがいも経済成長も」という労働面での目標も設定されています。企業が社員の働きやすさを考えることも、サステナブルな社会を目指す上で大切です。「働きがいも経済成長も」とは、具体的には「持続可能な経済成長およびすべての人に働きがいのある人間らしい雇用を目指すこと」を指します。人々が生き生きと働きやすい職場環境を作る上で、企業ができる取り組みとして挙げられることは以下の通りです。

  • 男女を問わず産休・育休を取得しやすいサポート体制を整える
  • 介護・育児と仕事を両立しやすいよう在宅勤務環境を用意する
  • 安全性が高い労働環境を確保する

3-4.社員向けのサステナブル教育を実施する

経営層から社員に向けてサステナブル教育を実施することも重要です。企業側だけがサステナブルな経営を目指しても、目標を達成できる可能性は高くありません。サステナブルな経営のためには、社員一人ひとりが自分の立場や役割の中でサステナブルを意識した活動を行うことが重要です。

研修や勉強会などを開催して教育を実施し、社員にサステナブルの意識を浸透させましょう。役員や管理職はもちろん、現場で働く社員一人ひとりまで、あらゆる階層の社員に理解を促すことが大切です。

4.サステナブルな社会を実現する鍵になるサーキュラーエコノミーと5R

サステナブルな社会を実現するためには、「サーキュラーエコノミー」が重要な鍵となります。サーキュラーエコノミーとは、日本語で「循環型経済」を指す言葉です。サーキュラーエコノミーとは、経済活動で製品・サービスを生み出す段階から再利用を前提に設計し、既存のものを無駄にせず最大限に活かす、循環型の経済システムを指します。モノを生産し、使用したら廃棄するという従来の経済活動からの転換を目指す考え方です。

国際的なサーキュラーエコノミー推進団体であるエレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーの3原則として以下の要素を掲げています。

  • 廃棄物や汚染を生み出さないこと(Design out waste and pollution)
  • 製品や素材を循環させ続けること(Keep products and materials in use)
  • 自然を再生させること(Regenerate natural systems)

サーキュラーエコノミーについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

サーキュラーエコノミーの循環型モデルは、リデュース・リユース・リサイクルをはじめとする5Rを内包しています。5Rそれぞれの意味と具体的な取り組みについて解説します。

4-1.Reduce(リデュース)

リデュースとは、「削減する」という意味を持つ言葉です。5Rにおいては、無駄なごみが発生する機会そのものを減らすための行動を指します。

人の生活の中ではごみが発生しますが、日々大量のごみを焼却することで二酸化炭素が発生し、地球温暖化を進める要因になっています。そこで、以下のような取り組みを行い、ごみの発生を抑えることが大切です。リデュースの具体的な取り組みは以下の通りです。

具体的な取り組み

必要がないものは買わない、食べ残しをしないといった行動が、誰でもすぐに取り組めるリデュースとして挙げられます。また、トレンドに流されず、長く使えるものを購入することも重要です。

エネルギーの無駄遣いを減らすこともリデュースに含まれます。節水のためにシャワーヘッドを交換したり、必要のない照明を消したりするといった行動も一種のリデュースです。

4-2.Reuse(リユース)

リユースとは「再使用する」という意味の言葉であり、ものを繰り返し使うことでごみの発生を減らす方法を指します。ものを長く使う人が増えるとものの生産量自体が抑えられるため、ごみの量の削減がさらに進むと考えられます。リユースの具体的な取り組みは以下の通りです。

具体的な取り組み

ジャム瓶などの容器を別の用途で再利用したり、着なくなった洋服を別のアイテムにリメイクしたりするといった行動がリユースに当たります。少し壊れたものや不要に思えるものもすぐには捨てずに、作り変えて新しい価値を与えられないかを考えることが大切です。

また、フリマアプリやリサイクルショップを利用して、古着などの使わなくなったものをほかの人につなげる行動もリユースに当たります。

4-3.Recycle(リサイクル)

リサイクルとは、ごみを資源として再生利用することです。ごみを再生利用することで、焼却されたり埋め立てられたりするごみの量を減らせます。リサイクルの具体的な取り組みは以下の通りです。

具体的な取り組み

リサイクルの最も身近な取り組みとして、ごみの分別が挙げられます。紙やプラスチック、瓶などをきちんと分別し、それぞれの特性に合わせた手法で資源として再生させれば、ごみを新しい商品に生まれ変わらせることが可能です。

多くの製品には、ペットボトルマークやプラスチックマーク、紙マークなど、分別方法を表すマークが付いています。ごみを捨てる際にはマークを確認して正しく分別し、リサイクルにつなげることが大切です。

4-4.Refuse(リフューズ)

リフューズとは「断る」という意味の言葉であり、ごみになるものを買ったりもらったりしないという選択を指します。リフューズの具体的な取り組みは以下の通りです。

具体的な取り組み

買い物をする際にレジ袋を購入せず、マイバッグを使うことが、身近なリフューズの取り組みとして挙げられます。また、お得だからといって必要ないものまで購入するのはごみの増加につながるため、予算を決めるなどして計画的に買い物をすることが大切です。

現在の消費者の多くは使い捨て型の暮らしに慣れていますが、ごみの排出量を削減するためには、ごみになり得るものを所持する機会を減らすことが重要になります。ものを買ったりもらったりする前に、本当に必要かどうかを十分検討しましょう。

4-5.Repair(リペア)

リペアとは、壊れたものをすぐには捨てずに、修理しながら長く使うことです。リペアの具体的な取り組みとしては以下のものが挙げられます。

具体的な取り組み

壊れたおもちゃや破れたノートなどを修繕して使い続けるのは、誰でも実施しやすい取り組みの1つです。衣服に空いた穴を縫ったり、ワッペンを付けたりして着られる状態にするのもリペアに含まれます。家電やガジェット、靴など、修理に特別な技術を要する場合は、各ジャンルのプロを頼るとよいでしょう。

また、商品を購入する段階で、修理すれば使い続けられる商品を選ぶことも重要になります。加えて、定期的にメンテナンスするなど、長く使い続けられる工夫をしましょう。

5.【ECビジネス向け】サステナブルに関係するキーワード

サステナブルに関連するキーワードとして「環境フットプリント」と「フェアトレード」が挙げられます。それぞれ以下で解説するので、自社の事業活動に反映できないか確認しておきましょう。

5-1.環境フットプリント

環境フットプリントとは、人間の消費活動が環境にどの程度の負荷をかけているかを調査・計測することです。フットプリントは「足跡」を意味しています。

環境フットプリントでは、温室効果ガスによる気候変動への影響だけではなく、人々の生活の質や健康への影響といった複数の領域を評価し、数値化します。EUでは製品や組織の環境フットプリントについて義務的な導入が検討されているなど、近年重視されているキーワードです。

人間は経済活動をする中でさまざまな資源を消費し、地球温暖化を加速させる温室効果ガスを大量に発生させています。環境負荷軽減に向けた取り組みが急がれる今、具体的な対策を講じるためにも、環境フットプリントによって環境負荷を可視化することが重要です。

ECサイトでは商品情報に、商品製造時の二酸化炭素排出量や水の使用量などの情報を記載する取り組みを始めた企業もあります。環境への負荷の少なさを商品のアピールポイントにすることで、サステナブルな社会への取り組みに貢献できます。

5-2.フェアトレード

フェアトレードとは、発展途上国と先進国が公平・公正な貿易を行うことを指します。発展途上国で作られた食料品や日用品が、先進国で安すぎる価格で販売されるケースは少なくありません。一方、発展途上国では低価格を実現するために、生産者に対して正当な対価が支払われないなどの問題が発生しています。つまり、「片方の国は豊かになるものの、もう片方の国は貧しいまま」という、弱い立場の国に不利な貿易が行われているということです。

発展途上国の生産者の生活を守るためには、発展途上国で作られた商品も適正な価格で取り引きし続けなければなりません。フェアトレードを徹底すれば、消費者は質が高い商品を購入できるほか、ブランドのイメージアップにもつながるでしょう。

ECサイトでは、フェアトレードに基づく商品を積極的に扱うところも見られます。フェアトレード商品を積極的に扱うことで、発展途上国の経済成長や労働環境の改善に貢献することが可能です。

6.まとめ

サステナブルとは、地球環境の保護や社会的公正を重視しつつ、持続可能な形で経済活動の発展を目指すことです。SDGsと関わりの深い考え方で、サステナブルな社会を実現するための方法論がSDGsとなります。

企業がサステナブルな社会を目指すためには、さまざまな方法があります。「環境・社会貢献製品の開発・販売」や「環境に配慮した事業運営」、「働きやすい職場環境の整備」などです。

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