LINEミニアプリとは?
メリット・デメリットや活用方法を解説!
日本国内で主要なメッセージアプリとしても親しまれている「LINE(ライン)」では、企業やサービス事業者に向けた「LINEミニアプリ」も提供されています。LINEミニアプリは、いわばLINE上で店舗の各種サービスを提供できるプラットフォームであり、自社アプリの代替サービスとして幅広い業種の企業から活用されていることが特徴です。
この記事では、小売業の経営者や販促担当者、ECサイトの運営責任者の方に向けて、LINEミニアプリの概要と注目される理由、さらに、メリット・デメリット、具体的な活用方法、導入の流れについて解説しております。ぜひお役立てください。
1.LINEミニアプリとは
LINEミニアプリとは、日本国内で最も利用者数の多いコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」上で提供されるWebアプリケーション機能です。
LINEがビジネス向けに提供する「LINE for Business」におけるサービスの1つであり、母体となるLINEに従属する形で利用できるビルトイン機能となっています。なお、LINEのように、1つのプラットフォームに多種多様なサービス・機能が集約されたスマホアプリは「スーパーアプリ」と総称されています。 企業・店舗がLINEミニアプリを導入・運用することで、クーポン機能や予約機能、さらに、ポイントカード機能などをLINE上で展開できるようになります。
LINEミニアプリは2019年6月より段階的にリリースされ、現在では飲食店から病院・クリニック、さらに、鉄道会社までさまざまな業界の企業・店舗がマーケティング施策の1つとして導入しています。
1-1.LINEミニアプリとLINE公式アカウントの違い
LINE for Businessでは、「LINE公式アカウント」というサービスも主流となっています。LINEミニアプリとLINE公式アカウントはいずれもLINE特有のコミュニケーション機能を応用したものであることから混同されがちですが、2つは大きく異なるサービスです。
LINE公式アカウントとは、企業・店舗が運営するLINEアカウントを指します。企業・店舗アカウントを友だち追加してくれたユーザーに対し、キャンペーン情報やクーポンを配信したり、問い合わせチャットに対応したりできます。
LINEミニアプリとLINE公式アカウントの大きな違いは、「利用ユーザーによる友だち追加の要否」です。ユーザーがLINEミニアプリの機能を利用するには友だち追加が不要である一方、LINE公式アカウントの場合は友だち追加が不可欠となっています。
1-2.LINEミニアプリと一般的なアプリの違い
「ネイティブアプリ」とも呼ばれる一般的なアプリは、App StoreやGoogle Playなどのアプリケーションストアでアプリをスマートフォンなどのデバイスにダウンロードする必要があります。
LINEミニアプリは「アプリ」という名称がついているものの、LINEアプリの中に各種機能を構築できるサービスです。すでにLINEを利用しているユーザーであれば、新しくアプリをダウンロードする必要がありません。「アプリストアにアクセスする→アプリを検索する→アプリを端末にインストールする」という面倒な作業は必要ないため、利用しやすいサービスと言えます。さらに、LINEミニアプリはダウンロードの必要がない仕様上、一般的なアプリと比較してデバイスのストレージをほとんど圧迫しません。
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2.LINEミニアプリが注目される理由
「ダウンロードの必要がない」という特徴は、LINEミニアプリが企業・顧客双方に注目されている最大の理由でもあります。
急速なデジタル化によってスマホが普及した近年、多くの企業・店舗にとってアプリをはじめとしたデジタルツールの導入が不可欠になりつつあります。デジタルツールは利便性の高さが重要とされていることから、さまざまな機能をもつ自社アプリ(ネイティブアプリ)を開発するケースも多く見られました。
しかし、ネイティブアプリを利用するためにはアプリストアからのダウンロードが必要で、このプロセスを煩わしいと感じるユーザーは少なくありません。また、新しい操作に慣れる必要があることも、利用の障壁となり得ます。 特にスマホ利用に慣れていない方からは敬遠されやすく、「コストをかけてアプリを開発したにもかかわらず、なかなか浸透しない」という事態も起こりかねません。
対して、LINEミニアプリはダウンロードが必要ない上、デバイスの容量をほとんど圧迫せず、ホーム画面やアプリ一覧画面にアイコンが追加されません。さらに、、LINEの操作に慣れている方なら比較的操作しやすく、浸透しやすい点が強みです。
3.LINEミニアプリのメリット
小売業がLINEミニアプリを導入することには、さまざまなメリットがあります。主なメリットには、下記の3つが挙げられます。
- 多数のLINE利用者に訴求できる
- メッセージの即時性や開封率が高い
- 開発費を抑えられる
ここからは、それぞれのメリットについて詳しく説明します。
3-1.多数のLINE利用者に訴求できる
LINEは国内で最も利用されているコミュニケーションアプリであり、2023年6月末時点における月間ユーザー数は「9,500万人」を誇っています。ユーザーの性別や年齢に偏りはなく、むしろ20代より60代の割合のほうが高いことも特徴です。
小売店がLINEミニアプリを活用すれば、国内多数のLINE利用者に対してアプローチをかけられます。ネイティブアプリとは違ってアプリが削除されることも少なく、むしろ日頃から利用するユーザーのほうが多いため、販促活動・集客施策に最も適したプラットフォームと言えるでしょう。
3-2.メッセージの即時性や開封率が高い
LINEミニアプリは、LINE公式アカウントと連動させることで、友だち追加してくれたLINEユーザーに対してメッセージを配信できるようになります。多数のユーザーから日常的に使用されるLINE上でのメッセージは、一般的なメルマガやチラシと違って即時性・開封率が非常に高く、効率よく顧客にリーチできます。
メッセージ配信機能で送信できるメッセージは、テキスト・スタンプだけでなく、テキスト・画像情報を1つのビジュアルにまとめた「リッチメッセージ」や、複数の画像をカルーセルで表示させられる「カードタイプメッセージ」など、あらゆる形式を選択できます。ユーザーの興味関心を引くメッセージを配信したり、共有しやすい仕組みを構築したりすることで、メッセージの配信効果はより高まるでしょう。
3-3.開発費を抑えられる
LINEミニアプリは、自社アプリを開発するよりも開発費用を大きく抑えられます。
小売業が独自アプリを自社で開発する場合、利便性向上や他社との差別化に向けて豊富な機能を備えたり、Android・iOSのOSごとに開発したりする必要があります。これらに対応するには専門的な知識が不可欠で、開発費や外注費がかさみやすい点が独自開発のデメリットです。
対して、LINEミニアプリはデフォルトでいくつかの機能が備わっているほか、LINEを利用できるデバイス上なら動作するため、各OS環境で開発する必要がありません。開発費を抑えつつ効率的にアプリを開発できるという点は、多くの小売業にとって非常に大きな魅力となるでしょう。
4.LINEミニアプリのデメリット
LINEミニアプリの導入には大きなメリットが多数ある一方で、いくつかのデメリットも当然存在します。メリットだけを見て導入すると失敗するおそれもあるため、あらかじめデメリットも把握した上でよく検討するとよいでしょう。
ここからは、LINEミニアプリの主なデメリットを2つ説明します。
4-1.独自性が出しにくい
LINEミニアプリの「デフォルトで機能が備わっており、開発コストを抑えやすい」という点は魅力の1つです。しかし、言い換えると「利用できる機能が限られている」ということにもなります。
LINEというプラットフォーム上で動作するLINEミニアプリには、こうした「開発環境の制約」が少なからずあります。ネイティブアプリに比べて独自性が出しにくく、差別化や顧客ロイヤルティを育てるのが困難な点に注意が必要です。
4-2.LINEへの依存度合いが高い
LINEミニアプリは、母体となるLINEへの依存度合いが非常に高くなっています。LINEミニアプリの機能面・UI/UX面において工夫しても、LINE側の仕様変更によってユーザビリティが大きく左右されてしまう可能性がある点に注意が必要です。
また、LINEミニアプリは企業・店舗であれば誰でも制限なくリリースできるわけではありません。LINEミニアプリをリリース・公開するためには、LINEが定めたガイドラインや基準を満たし、LINE側の審査に通過しなければならないことも覚えておきましょう。
5.LINEミニアプリの活用方法
LINEミニアプリは店舗運営に役立つ機能が多く、小売店やECサイトのほか、飲食店、病院・クリニックなど幅広い業界で活用されています。
以下では、LINEミニアプリの主な機能とそれぞれの活用方法を分かりやすく紹介します。
5-1.予約受付
予約受付機能は、ユーザーがLINEミニアプリ上から来店予約できる機能です。
LINEアカウント情報が紐づけられているため、ユーザーは希望日時やコースの選択など必要最低限の操作で済み、氏名や電話番号、住所などを打ち込む手間を省けます。
また、予約受付機能にはリマインド通知機能も備わっています。予約時間が近づいた際は、ユーザーに対してLINE上でリマインドメッセージが自動で送信されるため、来店忘れを最大限防止できます。
店舗独自の予約システムやGoogleカレンダーと連携すれば、予約管理業務のさらなる効率化も期待できるでしょう。
5-2.デジタル会員証
デジタル会員証機能は、自店舗・自社サービスの会員証をLINE上で提供できる機能です。ユーザーのLINEアカウントと連携できる認証機能を実装するだけで、オンライン・オフライン共通のデジタル会員証やメンバーズカードを簡単に発行できるようになります。
基本的にユーザーはQRコードを読み込むだけで会員登録が済み、デジタル会員証もワンタップで提示することが可能です。スマホやタブレットが会員証代わりとなるため、紙の会員証でよくある「会員証忘れ」「紛失」を防げるほか、ユーザーの利用ハードルを下げられる点もメリットと言えるでしょう。
5-3.オンライン決済
LINEミニアプリに備わった支払い機能では、LINE Payやクレジットカードによるオンライン決済も可能です。
この決済機能を活用することによって、ECサイトはもちろん、オフラインで営業する実店舗であっても顧客がオンライン上で決済できるようになり、キャッシュレス派の顧客もしっかりと取り込めます。
なお、LINEミニアプリ上でユーザーがオンライン決済を利用できるようにするためには、LINE Pay加盟店への申し込み・承認が必要です。
5-4.クーポン配布
LINEミニアプリ上では、新規顧客の獲得・既存顧客の再来店促進に役立つデジタルクーポンも配布できます。具体的には、LINE公式アカウント上でクーポン情報を配信し、LINEミニアプリ上で利用してもらう、という流れです。
クーポンは、顧客がその店舗を利用する決め手の1つです。このクーポンをLINEで簡単に獲得・利用できる点は、顧客にとって大きなメリットと言えるでしょう。また、企業側も「クーポンの配布にかかるコストを抑えられる」「顧客接点を増やせる」などのメリットを享受できます。
なお、拡張機能のミニアプリパッケージを追加することによって、特定条件でのクーポン自動配信など、より細かな設定ができるようになります。
5-5.テイクアウト・デリバリー
テイクアウト(店頭受取・持ち帰り)やデリバリー(宅配)のサービスを提供する飲食店にとって、LINEミニアプリのテイクアウト・デリバリー機能は非常におすすめです。テイクアウト・デリバリー機能を活用することで、飲食店における事前注文と決済を、ユーザーがLINE上で簡単に行えるようになります。
テイクアウトの場合、ユーザーはLINE上で事前に注文してから来店するため、待ち時間が短くなり、店内の混雑を避けられます。待ち時間が長いことによる機会損失を軽減させられる点は、企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。
6.LINEミニアプリを開発・導入する流れ
LINEミニアプリの開発方法(提供方法)には、「自社開発」と「パッケージ利用」の2つがあります。
自社開発
企業・店舗のニーズに合わせてオリジナルのLINEミニアプリを自社で個別に開発する方法
パッケージ利用
特定の機能やフォーマットをもつLINEミニアプリパッケージを利用する方法
自社開発は、アプリ開発の自由度が高い一方で、まとまった開発コストと長い開発期間を要します。パッケージ利用は自社開発よりも自由度は劣るものの、開発コストと開発期間を抑えられ、LINEミニアプリ導入のリスクを軽減できます。
なお、LINEミニアプリの開発・導入時は、開発方法を問わず下記の流れで行われることが一般的です。
LINEミニアプリの開発・導入時
1.登録エントリー・サービス企画書審査
まずは、LINEミニアプリの登録エントリーを行います。エントリー窓口で基本情報を入力したのち、サービス企画書による事前審査に通過すれば、開発プログラムへの登録が完了します。
2.サービス事前審査
開発プログラムの登録が済んだ後は、再度サービスの事前調査が行われ、サービス開発の可否が決定します。
3.サービス開発
サービスの事前調査を通過した後は、許諾されたサービス(LINEミニアプリ)の開発・作成を進めます。
4.LINEミニアプリの最終審査
LINEミニアプリの開発が終了したら、リリース審査が行われます。
5.LINEミニアプリのリリース
LINEミニアプリのリリース審査が終了すれば、アプリをリリースできます。エントリーからリリースまでには数か月以上の期間を要するため、余裕ある計画を立てましょう。
7.LINEミニアプリを利用するコツ
最後に、企業・店舗がLINEミニアプリを運用する際におさえておきたい2つのコツを紹介します。
LINE公式アカウントと併用する
LINEミニアプリを有効に活用するためには、LINE公式アカウントとの連携が不可欠と言っても過言ではありません。なぜなら、LINE公式アカウントの友だち追加を最も自然に促せるためです。
ユーザーにLINE公式アカウントを友だち追加してもらうことで、クーポンやキャンペーン情報を配信できるほか、新商品情報を直接届けられるようになります。リピーターの育成だけでなく、休眠顧客の掘り起こしにもつながるでしょう。
さらに、LINEミニアプリとの連携によって店舗の利用体験を向上させられます。このように、LINEミニアプリとLINE公式アカウントの併用には多くのメリットがあることを覚えておきましょう。
得られるデータを活用する
企業・店舗はLINEミニアプリを通して、利用ユーザーの性別・年齢層・行動履歴といったあらゆるデータを取得できます。これらのユーザーデータは、マーケティング施策や集客戦略を立案する際に、データドリブンな判断をするのに役立ちます。
データドリブンとは、収集した各種データの分析結果にもとづき何らかの判断やアクションを起こすことです。デジタルマーケティングやDXが注目されている近年では非常に重要な考え方とされており、成功に導くためには段階的なプロセスを踏む必要があります。EC事業者のマーケティングご担当者様に向けて、データドリブンマーケティングについて以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
8.まとめ
LINEミニアプリは、独自で開発する自社アプリと比較して独自性が出しにくいという難点もありますが、基本的にはコスト削減や業務効率化といったメリットのほうが多く、幅広い業種での導入におすすめです。
また、企業・店舗がLINEミニアプリを運用する際は、LINE公式アカウントの併用・収集データの有効活用がポイントです。
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