データマートとは?
データウェアハウスとの違いや導入メリットを解説!
幅広い業界において、収集したデータを活用した企業経営やビジネス推進は非常に重要です。しかし、社内に蓄積した大量のデータの中から「どのデータを抽出・活用すればよいのか分からない」という方も多いでしょう。必要な情報を取り出しやすくするため、そしてより適切な分析を行うためには、データマートの作成がおすすめです。
この記事では、企業のマーケティング・販促・IT部門担当者の方へ向けて、データマートの概要とメリット・デメリット、さらにデータマートの種類について解説しております。ぜひお役立てください。
1.データマートとは
データマートとは、「Data(データ・情報)」と「Mart(小売店)」を組み合わせた言葉であり、用途や目的に応じて必要な情報のみを抽出・集計し、データを分析・活用しやすい形に格納した、いわば小規模のデータベースです。
基本的に、企業のデータベース上に蓄積する膨大なデータの中には、データを利用したい各部門や部署にとっては必要のない情報も多く含まれています。そのため、適切なデータを素早く抽出することが困難です。
部門別の業務に関連する情報のみが格納されたデータマートがあれば、データの抽出・活用が容易となるでしょう。サービスの改善や計画の立案に関する業務の効率化につながるほか、多方面でのデータ活用も可能となります。
1-1.データマートとデータウェアハウスの違い
データマートと混同されやすいものとして、「データウェアハウス(DWH)」が挙げられます。
データウェアハウスとは、複数の基幹系システムからデータを定期的に収集し、時系列順に保存・蓄積するデータ管理システムのことです。データマートを「データの小売店」とするならば、データウェアハウスは「データの倉庫」です。データウェアハウスに保存されたデータを、特定の目的に応じて抜き出したものがデータマートとなります。
このように、データマートとデータウェアハウスは密接な関係にあります。データウェアハウスの分割によってデータマートを作成するケースもあれば、いくつかのデータマートの統合によってデータウェアハウスを構成するケースもあることを覚えておきましょう。
1-2.データマートとデータレイクの違い
「データレイク」も、データマートやデータウェアハウスと混同されやすいものとして知られています。
データレイクとは、あらゆるソースから収集したデータを、生データのままの形式で一元的に保存・蓄積できるリポジトリです。いわば「データの貯蔵庫・収蔵庫」であり、時系列ごとに蓄積されるデータウェアハウスとは違ってデータの取得順に格納されることも特徴となっています。
データ分析における使い勝手は決してよいとは言えないものの、低コストで膨大なデータ量を一元管理できる点が大きな魅力です。
1-3.データマートとデータレイクの違い
データマート・データウェアハウス・データレイクそれぞれの役割や位置づけは、下記の通りです。
さまざまなシステムからデータレイクにまとめて保存したビッグデータをデータ活用に向けてデータウェアハウスで加工し、データマートでデータを必要とする部門や業務ごとに分類した後、必要に応じて取り出すという流れが基本です。つまり、データマートは「データ分析において最も身近なデータベース」であると言えるでしょう。
2.データマートのメリットとデメリット
データマートには、データレイクやデータウェアハウスと比べてメリットとなる部分もあれば、デメリットとなる部分もあります。企業のデータ活用にデータマートを効率的に活用したいのであれば、メリット・デメリットの両面を理解しておくことが大切です。
ここからは、データマートを使用する具体的なメリット・デメリットをそれぞれ詳しく紹介します。
2-1.データマートのメリット
データマートのメリットは、下記の通りです。
実装コストが比較的低い
データマートは、特定の部門・用途で必要なデータのみを整理することから、実装に膨大なコストを費やす必要がありません。
データを取り扱いやすい
データマートに格納されるデータは、基本的に活用を前提とするため分析しやすい形に切り出されて抽出します。そのため、データの取り扱いが容易となり、作業効率も向上しやすくなっています。
特定の業務向けのデータを抽出できる
データマートは膨大な量のデータから必要な情報のみを抽出して分析でき、特定部門・業務別の詳細なデータ分析もより容易に行えます。
BIツールで可視化しやすい
データマートとBIツールを連携させれば、データマート内のデータをより分かりやすく可視化させることも可能です。これにより、正確なデータを用いた分析がさらにしやすくなります。
2-2.データマートのメリット
データマートのデメリットは、下記の通りです。
大規模なデータの共有が難しい
データマートは、小規模なデータの格納を得意としています。データの規模が大きすぎたり、一度に多くのアクセスが集中したりすると処理が追いつかなくなり、リアルタイム共有できなくなるおそれがあります。
多角的な分析には向かない
データマートは、単一データを得意としているため、重層的および多角的な分析には向いていません。新たな視点を得るための複雑なデータを用いた分析を行いたいなら、その他のデータベースやデータ管理システムを利用する必要があります。
3.データマートの種類
データマートとひとくちに言っても、特徴によって「従属型データマート」と「独立型データマート」、さらに「ハイブリッド型データマート」の3種類に大別されます。データマートを用いてビジネス推進につながるデータ分析を行いたいのであれば、利用するデータに応じた適切な種類を選ぶことが大切です。
データマートの3つの種類についてそれぞれ説明します。
3-1.従属型データマート
従属型データマートとは、すでに構築されたデータウェアハウスに従属する形で作成されたデータマートのことです。データウェアハウスに収集されたデータのうち、特定部門が必要とするデータのみがテーブルに抽出されます。
なお、データウェアハウスに収集されたデータはすでにETL処理(データクレンジング処理)が済んだものだけとなるため、従属型データマートでもETL処理が済んだきれいなデータへスムーズかつ効率よくアクセスできます。
データの信頼性が高く、データマートの構築期間も短く済む一方で、データウェアハウスに依存することからメンテナンス負荷がやや大きくなることに注意が必要です。
3-2.独立型データマート
独立型データマートとは、企業のデータウェアハウスを通すことなく、特定部門や業務に特化したデータマートをスタンドアロンで機能させるタイプです。
独立型データマートの場合、データ管理システムへのアクセス・データ収集・ETL処理のすべては独立して行います。そのため、データの取り扱いスピードはETL処理の済んだデータへアクセスする従属型データマートと比べてやや劣ることが特徴です。
一方で、大規模なデータウェアハウスを構築せずに導入・運用できます。優先度の高い特定部門から導入できるほか、企業全体においてもスモールスタートを切れる点は大きなメリットと言えるでしょう。
3-3.ハイブリッド型データマート
ハイブリッド型データマートとは、従属型データマートと独立型データマートそれぞれの特性を併せ持つデータマートです。主要となるデータは従属型データマートのようにデータウェアハウスから抽出し、部門独自に必要となる一部のデータは独立型データマートのようにデータベースから収集し、抽出・収集してきたデータの統合に必要なELT処理までをスピーディーに行います。
また、ハイブリッド型データマートは、ほかのデータマートと違ってデータウェアハウス以外のデータにもアクセスしてフレキシブルに分析できます。新たな視点でデータに目を向けられるため、新組織の立ち上げや新商品の企画・発売時には大いに役立つでしょう。
一方で、データウェアハウス内にないデータソースからのアクセスを許すこととなるため、セキュリティを意識した運用が不可欠です。
4.まとめ
「データの格納庫」とも呼ばれるデータマートは、用途や目的に応じて必要な情報のみを抽出・集計し、データを分析・活用しやすい形に格納した小規模データベースです。小売店的な役割を果たしており、ビジネス推進に向けたデータ分析においては最も身近なデータベースと言えるでしょう。
データマートには「実装コストが低い」「データの抽出・取り扱いが容易」などのメリットがある一方で、「大規模データ共有が難しい」「多角的な分析ができない」というデメリットもあります。これらのメリット・デメリットに加え、データマートの主な種類も理解した上で、適切なものを選びましょう。データドリブンマーケティングを実現するための3ステップと題し、データ分析サービス「ichimo」による解決策について以下でご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
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