
インバウンド再開の現状とアフターコロナに実施すべきインバウンド対策とは?【2022年最新版!】【前編】

コロナ禍のため制限していた訪日外国人観光客の受け入れが2022年6月10日から再開されました。
しかし、インバウンド対策の検討を進めるにあたり、「どのような対策を立てたら良いのだろう?」とお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
今回は、「インバウンド再開の現状は?」「アフターコロナに実施すべきインバウンド対策って?」を、SCSKが展開するサービス「altcircle(オルトサークル)」の分析データと併せて分かりやすく解説します。
こんな方へ…
- メーカーの経営企画担当者
- インバウンド対策をすべきかどうか判断に悩む方
- インバウンドの情報収集(市場調査)をしたいが、どのように調べたらよいかわからない方
インバウンド再開の現状と今後のシナリオ
コロナ禍のため制限していた訪日外国人観光客の受け入れが2022年6月10日から再開されました。感染拡大リスクの観点から、当面はG7各国など98の国と地域を対象に一日当たり2万人の枠内で、かつ添乗員付きのパッケージツアーに限定されます(※出典:日本政府観光局(JNTO))。コロナ禍前の2019年には過去最多の約3,200万人(1日平均9万人弱)の外国人が日本を訪れていたこと考慮すると、まだまだ本格的な需要回復には遠い状態です。コロナ禍前に主流だった個人旅行客の受入れ再開や外国人の訪日ビザ免除がいつから行われていくかが大きな焦点になります。
一方、海外に目を向けると国・地域により差異はあるものの、多くの国・地域で水際対策は緩和されつつあります。しかしながら、欧米諸国と比べると、少しずつ緩和され始めているものの、アジアの水際対策は相対的に厳しい水準のままとなっています。
▼各国の水際対策水準とその変化
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出典:Our World in Data (https://ourworldindata.org/)
また、国際線の供給数(客席数×便数)における回復率より、規制緩和が先行していた欧州や北米・中米・カリブから旅行需要が徐々に戻ってきていることが分かります。直近の規制緩和を背景にアジア諸国においても旅行需要の回復が見込まれます。
▼国際線航空線座席供給数の回復率
出典:JTB総合研究所 『データで見る訪日インバウンド市場トレンドマーケット・リカバリー・ウォッチ特別号』
観光地としての魅力度の高さ
世界117の国と地域の観光競争力のランキングにて、日本が初めて1位を獲得しました。調査の評価軸は、「環境整備(治安・医療など)」「旅行・観光政策」「観光インフラ」「観光資源」「持続可能性」の5つでしたが、日本固有の観光資源の豊富さや、交通・宿泊の観光インフラの利便性などが特に高く評価されたことで、順位を伸ばす結果となりました。
日本が観光地として人気な背景にはいくつかの理由がありますが、「観光地としての魅力度が依然と高い」、「円安」という背景の影響もあり、外国人観光客の日本旅行への需要はコロナ禍前と変わらず高いと考えられます。
▼観光競争力ランキング
参照:やまとごころ.jp (https://yamatogokoro.jp/inbound_data/46457/)
アフターコロナにおけるインバウンド市場について
日本を除く世界各国の中央銀行による金融引締めを背景に、歴史的な円安傾向が続いています。ドル円レートでは、6月13日に1ドル=135円をつけ、コロナ禍前の2019年及び、「爆買い」という言葉が流行語大賞を受賞した2015年と現在の各主要通貨における為替レートを比較すると、インバウンド市場は円安の恩恵を受ける形となりそうです。
▼各国における対円為替レート比
出典:みずほ銀行「外国為替公示相場ヒストリカルデータ」よりSCSKにて集計・グラフ化
尚、2019年インバウンド消費額は約4.8兆円でした。同年の各輸出品目と比較すると、インバウンド産業は自動車産業、化学産業に続く第3位の規模を誇っていると言えます。
▼インバウンド消費額と品目別輸出額(2019年)比較
日本政府としても訪日外国人観光客数を2030年に6,000万人にするという目標を据置きしており(※出典:日本政府観光局(JNTO))、2025年には大阪万博も控えていることから、アフターコロナにおける継続的なインバウンド市場の推進策を講じていくとしています。
以上を踏まえて、弊社では今後の訪日外国人観光客数推移を下記のように想定しています。
▼アフターコロナにおける想定訪日外国人数推移
各年度の訪日客数規模は想定数値となります。
出典:SCSK
尚、世界的な景気後退による旅行需要の減少、原油高・人件費高などを背景にした輸送費高騰による旅行需要の減少もしくは消費単価の減少、ゼロコロナ対策下の中国における国外旅行規制による観光客の減少、サル痘や新たなコロナ変異株などにより感染症の再拡大による旅行需要の減少、新たな地政学問題発生など、様々なリスクにより上記シナリオは大幅に変更される可能性があります。
今後のインバウンド市場へ対策を講じる際には、これらのリスクを考慮しておく必要があります。
後編では、企業が行う”アフターコロナにおけるインバウンド対策”についてご紹介します。